はじめに
今回は「木曽の最期」の「テスト対策」〈第1回〉です。この後の内容はPART2でお話しています。ぜひあわせてご覧ください。
「木曽の最期」テスト対策
『木曽の最期』の前半部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。
古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。
「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。
今回は意味が問われそうな「重要古文単語」がたくさん出てきているので、ここで一気に覚えてしまいましょう!
ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。
いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。
本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。「スマホで学ぶ古文」は文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。
本文の確認
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。
木曽左馬頭、その日の装束には、赤地の錦の直垂に、唐綾をどしの鎧着て、鍬形うつたる甲の緒しめ、いかものづくりの大太刀はき、石打ちの矢の、その日のいくさに射て少々残つたるを頭高に負ひなし、滋籐の弓持つて、聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬の、きはめて太うたくましいに、黄覆輪の鞍置いてぞ乗つたりける。鐙ふんばり立ちあがり、大音声をあげて名のりけるは、「昔は聞きけんものを、木曽の冠者、今は見るらん、左馬頭兼伊予守、朝日の将軍源義仲ぞや。甲斐の一条次郎とこそ聞け。互ひによい敵ぞ。義仲討つて兵衛佐に見せよや。」とて、をめいて駆く。一条次郎、「ただ今名のるは大将軍ぞ。余すなものども、漏らすな若党、討てや。」とて、大勢の中に取りこめて、我討つとらんとぞ進みける。木曽三百余騎、六千余騎が中を縦さま、横さま、蜘蛛手、十文字に駆け割つて、後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりにけり。そこを破つて行くほどに、土肥次郎実平、二千余騎でささへたり。それをも破つて行くほどに、あそこでは四五百騎、ここでは二三百騎、百四五十騎、百騎ばかりが中を駆け割り駆け割り行くほどに、主従五騎にぞなりにける。
五騎がうちまで巴は討たれざりけり。木曽殿、「おのれは疾う疾う、女なれば、いづちへも行け。我は討ち死にせんと思ふなり。もし人手にかからば、自害をせんずれば、木曽殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど言はれんこともしかるべからず。」とのたまひけれども、なほ落ちも行かざりけるが、あまりに言はれたてまつて、「あつぱれ、よからう敵がな。最後のいくさして見せたてまつらん。」とてひかへたるところに、武蔵の国に聞こえたる大力、御田八郎師重、三十騎ばかりで出できたり。巴その中へ駆け入り、御田八郎に押し並べて、むずととつて引き落とし、わが乗つたる鞍の前輪に押しつけて、ちつとも働かさず、首ねぢ切つて捨ててんげり。その後、物具脱ぎ捨て、東国の方へ落ちぞ行く。手塚太郎討ち死にす。手塚別当落ちにけり。
(『平家物語』より)
この記事は「手塚別当落ちにけり。」までの解説です。本文はこの後も続きます。続きは以下の記事をご覧ください。
読みで問われやすい語
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- その日の装束には、赤地の錦の直垂に、唐綾をどしの鎧着て、鍬形うつたる甲の緒しめ、いかものづくりの大太刀はき、
- 鐙ふんばり立ちあがり、大音声をあげて名のりけるは、
- 左馬頭兼伊予守、
- 互ひによい敵ぞ。義仲討つて兵衛佐に見せよや。
- おのれは疾う疾う、女なれば、
解答はこちら(タップで表示)
「装束」は「そうぞく」、「直垂」は「ひたたれ」、「鎧」は「よろい」、「甲」は「かぶと」、「大太刀」は「おおだち」、「鐙」は「あぶみ」、「大音声」は「だいおんじょう」、「左馬頭」は「さまのかみ」、「伊予守」は「いよのかみ」、「敵」は「かたき」、「兵衛佐」は「ひょうえのすけ」、「疾う」は「とう」です。
あらすじの確認
- 木曽義仲(木曽殿)の武器や鎧、乗っている馬などを語り手(作者)が説明する
- 木曽殿が名乗りを挙げて、相手方に進軍する
- 甲斐一郎次郎が、土肥二郎実平の兵を突破する
- 木曽殿はとうとう残り5騎になる
- 木曽殿は寵愛する巴に逃げるよう説得する
- 巴は最後の戦いを仕掛け、東国へ落ちていく
出題ポイント
以下の3項目が何も見ずに訳すことができるか。確認してください。
- 昔は聞きけんものを、木曽の冠者、今は見るらん
- 女を具せられたりけりなんど言はれんこともしかるべからず
- あつぱれ、よからう敵がな
文学史・文学作品の確認
今回の「木曽殿の最期」は『平家物語』の一節です。『平家物語』は、平家一門の盛衰を描く軍記物語(戦記物語)です。「諸行無常」、「盛者必衰」という仏教的無常観に基づいて平家の権勢の興隆もやがて衰えていくことを語っています。原作者・成立年代は分かっていませんが,13世紀の末には盲目の琵琶法師たちによって語り伝えられ、それが徐々に加筆・修正を加えられて今の形になったと考えられています。ただ、『徒然草』の中で、信濃前司行長が書いたとあります。
琵琶法師が話を語る形式のため、文章は口語体で読みやすく、音便も多く用いられています。また、現代の言葉と同じように、漢語と和語を融合させた文体です。これを「和漢混淆文」(わかんこんこうぶん)といいます。以上が簡単な『平家物語』の説明です。

練習問題(一問一答&文法問題)
では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。
おわりに
今回は「木曽殿の最期」のうち、木曽殿の最後の戦いと、愛する巴と別れる場面までを復習していきました。『平家物語』は「無常観」をベースにして文章が描かれているので、登場人物の最期も生き生きと描かれます。読んでいて辛くなる場面もありますが、テンポがよいので、非常に読んでいて心地の良い文章でもあります。この後、木曽殿が最期を迎える話は、第二回に続きます。
読んでいただきありがとうございます!
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