「東下り」テスト対策〈第一回〉
それでは、今回の「東下り」において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話します。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。
古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。
「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。
ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。
いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。
本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。古典文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。このサイトは文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。
本文の確認〈第一回〉
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。
主人公は誰?なぜ京を出たの?どこにたどり着いたの?何を題にして歌を詠んだの?
そんなことを思い出しながら読んでみてください。
「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。
昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、「京にはあらじ。東の方に住むべき国求めに。」とて行きけり。もとより友とする人一人二人して行きけり。道知れる人もなくて、惑ひ行きけり。三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水行く川の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。その沢のほとりの木のかげに下りゐて、乾飯食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、「かきつばたといふ五文字を句の上に据ゑて、旅の心をよめ。」と言ひければ、よめる。
唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
とよめりければ、みな人、乾飯の上に涙落としてほとびにけり。
(『伊勢物語』より)
読みで問われやすい語〈第一回〉
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 水行く川の蜘蛛手なれば、
- 乾飯食ひけり。
- かきつばたといふ五文字を句の上に据ゑて、旅の心をよめ。
解答はこちら(タップで表示)
「蜘蛛手」は「くもで」、「乾飯」は「かれいい」、「五文字」は「いつもじ」ですが、これらは出題確率としてはそれほど高くないと思います。
あらすじの確認〈第一回〉
- 「男」が自分の身を(都では)必要のない者だと感じて、友人たち一人二人とともに、都を出て東へ住むべき国を求めて出かける
- 道中迷いながらも、三河の国(愛知県東部)八橋という場所にたどり着く
- 「八橋」は蜘蛛の手のような川の形状に橋を8つ架けているからその名前になる
- 川のほとりで木の陰に座って乾飯を食べる
- その沢に「かきつばた」が美しく咲いている
- ある人が「かきつばたの五字を句の上に据えて、旅の心を詠め」という
- 和歌を詠む
- 皆、感動して乾飯の上に涙を落とし、乾飯はふやけて食べやすくなる
出題ポイント〈第一回〉
以下の項目が何も見ずに訳すことができるか確認してください。
- 昔、男ありけり。
- かきつばたいとおもしろく咲きたり
- 唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
文学作品・文学史の確認
『伊勢物語』は、十世紀(平安時代中期)に成立した、ジャンルとしては「歌物語」に位置づけされます。「歌物語」というのは、文字通りお話の中に「和歌」が含まれるものということですが、「作り物語」と異なるのは「和歌」を中心としてお話が作られていることが特徴だということです。
文章は一つ一つのお話が短く、「昔、男〜」で始まることが多いのが特徴です。この「男」は在原業平がモデルであると考えられ、この男の人生を描いたような形をとっています。他の作品に「在五中将の日記」「在五が物語」などと書かれています。「在五」とは在原業平のことを指すので、在原業平がモデルだと言われるのです。在原業平は色男で有名なので、『伊勢物語』は色恋沙汰の話が多いと思っていたらよいでしょう。ついでに、「歌物語」をまとめたものを以下に示します。

練習問題(一問一答&文法問題)〈第一回〉
では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。
「東下り」テスト対策〈第二回〉
続いて、今回の「東下り」(第二回)において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話します。
本文の確認〈第二回〉
途中で誰に会った?2つの和歌で詠み手は何を言いたかったの?
そんなことを考えながら、読んでみてください。
「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してください。
行き行きて、駿河の国にいたりぬ。宇津の山にいたりて、わが入らむとする道はいと暗う細きに、蔦・楓は茂り、もの心細く、すずろなる目を見ることと思ふに、修行者会ひたり。「かかる道はいかでかいまする。」と言ふを見れば、見し人なりけり。京に、その人の御もとにとて、文書きてつく。
駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れり。
時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
その山は、ここにたとへば、比叡の山を二十ばかり重ね上げたらむほどして、なりは塩尻のやうになむありける。
(『伊勢物語』より)
読みで問われやすい語〈第二回〉
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 行き行きて、駿河の国にいたりぬ。
- 蔦・楓は茂り、
- 時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
- 比叡の山を二十ばかり重ね上げたらむほどして、
解答はこちら(タップで表示)
「駿河」は「するが」、「蔦」は「つた」、「楓」は「かえで」、「嶺」は「ね」、「二十」は「はたち」です。「蔦」「楓」は現代語ですね。「駿河」は現在の何県かなどと問われるかもしれません。
あらすじの確認〈第二回〉
・更に進んで、駿河の国(静岡県中部)の宇津の山にたどり着く
・山道は暗く、細い上につたやかえでが茂っており、心細い
・その山の中で、知人の「修行者」に会う
・京に戻る途中の「修行者」に都に残した女性への手紙を託す
・富士山が遠くに見えるので、それを和歌にする
出題ポイント〈第二回〉
以下の項目が何も見ずに訳すことができるか確認してください。
- すずろなる目を見ること
- かかる道はいかでかいまする
- 《和歌》駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
- 五月のつごもり
- 《和歌》時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
練習問題(一問一答&文法問題)〈第二回〉
「東下り」テスト対策〈第三回〉
「第三回」は静岡県から東京の隅田川まで移動した一行が、遠くまできたことを嘆く場面です。続いて、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話します。
本文の確認〈第三回〉
「渡し守」と一行とのやりとりについて、「都鳥」を見た一行の思いを考えながら読んでみましょう。
「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してください。
なほ行き行きて、武蔵の国と下総の国との中に、いと大きなる川あり。それをすみだ川といふ。その川のほとりに群れゐて思ひやれば、限りなく遠くも来にけるかなとわび合へるに、渡し守、「はや舟に乗れ。日も暮れぬ。」と言ふに、乗りて渡らむとするに、みな人ものわびしくて、京に思ふ人なきにしもあらず。さる折しも、白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡し守に問ひければ、「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて、
名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。
(『伊勢物語』より)
読みで問われやすい語〈第三回〉
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 武蔵の国と下総の国との中に、いと大きなる川あり。
- 嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる
解答(タップで表示)
「武蔵」は「むさし」、「下総」は「しもつふさ」、「嘴」は「はし」、「鴫」は「しぎ」ですが、これらは出題確率としてはそれほど高くありません。「武蔵」「下総」は地名なので、場所も分かるようにしてくださいね。
あらすじの確認〈第三回〉
・さらに進んで、武蔵の国と下総の国を結ぶ「すみだ川」に到着する
・川のほとりで改めて遠くに来たことを嘆く
・「渡し守」が、日が暮れるので早く船に乗れと催促する
・京都に残してきた人のことを思って嘆きながらも一行は船に乗る
・そんなときに、くちばしと脚が赤く鴫くらいの大きさの白い鳥を見る
・「渡し守」はその鳥を「都鳥」だという
・「都鳥」に関する和歌を詠み、船で涙を流す
出題ポイント〈第三回〉
以下の項目が何も見ずに訳すことができるか確認してください。
・わびあへるに
・日も暮れぬ
・みな人ものわびしくて
・白き鳥の、はしと脚と赤き、鴫の大きさなる
・名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
練習問題(一問一答&文法問題)〈第三回〉
おわりに
全3回に渡ってお話してきた「東下り」もこれでおしまいです。長かったですが、「男」が都を出ることになったのも結局は自分の行動が原因なので、仕方がない部分があったのかもしれません。都に居づらくなったのは、入内させる娘を奪って逃げたことも大きな要因でしょう。この話は「芥川」に見えますね。
とはいえ、辛く苦しい状況になった時、人はどのように考えるのか、今も昔も変わらないのではないかと思わせる文章でした。また、『伊勢物語』には他にも面白い文章がたくさん出てきますので、ぜひ他の文章も読んでみてください。
読んでいただきありがとうございます!
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