はじめに
今回は『伊勢物語』第九段です。多くの教科書が「東下り(あづま下り)」という題名で載せています。「伊勢物語」については第六段「芥川」の「はじめに」で説明していますので、詳細はそちらをご覧ください。以下は歌物語の一覧です。

「東下り」(あづま下り)要点・あらすじ・現代語訳〈第1回〉
古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。

昔、男ありけり。その男、身(み)をえうなきものに思ひなして、「京にはあらじ。東の方(かた)に住むべき国(くに)求めに。」とて行(ゆ)きけり。もとより友とする人一人(ひとり)二人(ふたり)して行きけり。道知れる人もなくて、惑(まど)ひ行きけり。三河(みかは)の国、八橋(やつはし)といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水行く川の蜘蛛手(くもで)なれば、橋を八(や)つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。その沢(さは)のほとりの木のかげに下りゐて、乾飯(かれいひ)食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、「かきつばたといふ五文字(いつもじ)を句(く)の上(かみ)に据(す)ゑて、旅の心をよめ。」と言ひければ、よめる。
唐衣(からころも)きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
とよめりければ、みな人、乾飯の上に涙落としてほとびにけり。
(『伊勢物語』より)
文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。
登場人物の確認
- 男
- 友(一人二人)
お話を簡単に理解(あらすじ)
- 「男」が自分の身を(都では)必要のない者だと感じて、友人たち一人二人とともに、都を出て東へ住むべき国を求めて出かける
- 道中迷いながらも、三河の国(愛知県東部)八橋という場所にたどり着く
- 「八橋」は蜘蛛の手のような川の形状に橋を8つ架けているからその名前になる
- 川のほとりで木の陰に座って乾飯を食べる
- その沢に「かきつばた」が美しく咲いている
- ある人が「かきつばたの五字を句の上に据えて、旅の心を詠め」という
- 和歌を詠む
- 皆、感動して乾飯の上に涙を落とし、乾飯はふやけて食べやすくなる
今回は和歌の説明が大変ですが、文章の内容としては古文独特の単語もほとんどなく、初見である程度の内容がつかめそうです。多少の助動詞の知識が必要になりますが、それは徐々に分かっていけばよいでしょう。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- 昔、男ありけり。
- かきつばたいとおもしろく咲きたり
- 唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
「東下り」(あづま下り)読解のコツ 第2回
さて、続きを読んでいきましょう。今回は「男」がさらに東に進み、駿河の国(静岡県の中部)にたどり着きます。では、始めていきましょう。今回も古文を読解する5つのコツをお話します。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む

行(ゆ)き行きて、駿河(するが)の国にいたりぬ。宇津(うつ)の山にいたりて、わが入(い)らむとする道はいと暗(くら)う細きに、蔦(つた)・楓(かへで)は茂(しげ)り、もの心細く、すずろなる目を見ることと思ふに、修行者(すぎやうざ)会(あ)ひたり。「かかる道はいかでかいまする。」と言ふを見れば、見し人なりけり。京(きやう)に、その人の御(おほん)もとにとて、文(ふみ)書きてつく。
駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
富士の山を見れば、五月(さつき)のつごもりに、雪いと白う降れり。
時知らぬ山は富士の嶺(ね)いつとてか鹿(か)の子(こ)まだらに雪の降るらむ
その山は、ここにたとへば、比叡(ひえ)の山を二十(はたち)ばかり重(かさ)ね上(あ)げたらむほどして、なりは塩尻(しほじり)のやうになむありける。
(『伊勢物語』より)
登場人物の確認
・男 ・(友) ・修行者
第2回は「男」がさらに東に進んでいると、山の中で修行者に出会うという話です。「友」はその場にいるのでしょうが、第2回のお話の中にその人の行動は書かれていません。
お話を簡単に理解(あらすじ)
・更に進んで、駿河の国(静岡県中部)の宇津の山にたどり着く
・山道は暗く、細い上につたやかえでが茂っており、心細い
・その山の中で、知人の「修行者」に会う
・京に戻る途中の「修行者」に都に残した女性への手紙を託す
・富士山が遠くに見えるので、それを和歌にする
ここも、和歌以外の箇所は割と読みやすいですね。ただし、いくつか重要古語が出ているので、そこは後で解説します。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- ④すずろなる目を見ること
- ⑤かかる道はいかでかいまする
- ⑥《和歌》駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
- ⑦五月のつごもり
- ⑧《和歌》時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
「東下り」読解のコツ 第3回
今回は「男」がさらに270キロほど東に進み、武蔵の国の隅田川(東京都)にたどり着きます。では、古文を読解する5つのコツをお話しましょう。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む

なほ行(ゆ)き行きて、武蔵(むさし)の国と下総(しもつふさ)の国との中に、いと大きなる川あり。それをすみだ川といふ。その川のほとりに群(む)れゐて思ひやれば、限りなく遠(とほ)くも来(き)にけるかなとわび合(あ)へるに、渡し守(わたしもり)、「はや舟に乗れ。日も暮(く)れぬ。」と言ふに、乗りて渡(わた)らむとするに、みな人ものわびしくて、京(きやう)に思ふ人なきにしもあらず。さる折(をり)しも、白き鳥の、嘴(はし)と脚(あし)と赤き、鴫(しぎ)の大きさなる、水の上に遊びつつ魚(いを)を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡し守に問ひければ、「これなむ都鳥(みやこどり)。」と言ふを聞きて、
名にし負(お)はばいざこと問(と)はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。
(『伊勢物語』より)
登場人物の確認
・男 ・友(一人二人) ・渡し守
第3回は男たち一行が隅田川を渡る話です。この川を渡ると、さらに京都が遠くなった気がするのでしょうか、男たちは川を渡ることをためらいます。その様子を渡し守がとがめるという内容です。
お話を簡単に理解(あらすじ)
・さらに進んで、武蔵の国と下総の国を結ぶ「すみだ川」に到着する
・川のほとりで改めて遠くに来たことを嘆く
・「渡し守」が、日が暮れるので早く船に乗れと催促する
・京都に残してきた人のことを思って嘆きながらも一行は船に乗る
・そんなときに、くちばしと脚が赤く鴫くらいの大きさの白い鳥を見る
・「渡し守」はその鳥を「都鳥」だという
・「都鳥」に関する和歌を詠み、船で涙を流す
この箇所は展開もわかりやすく、意味をつかむのはあまり難しくないでしょうが、多少の文法事項はわかっていないと、例えば「日も暮れぬ」を「日も暮れない」と訳したり(正しくは「日も暮れてしまう」)、「京には見えぬ鳥」を「京では見えた鳥」と訳したり(正しくは「京都では見えない鳥」)してしまいます。打消の助動詞「ず」と完了の助動詞「ぬ」について、今一度確認しておいてください。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。今回はそれらの2箇所(+1)を詳しく解説していきます。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
⑨わびあへるに
⑩名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
・白き鳥の、はしと脚と赤き、鴫の大きさなる
おわりに(テスト対策へ)
今回は、『伊勢物語』の「東下り」についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。
読んでいただきありがとうございます!
この記事が役に立ったと思ったら、ぜひ他の記事もご覧ください。
もしよければ、友だちにもシェアしていただけるとうれしいです😊
