「若紫」(小柴垣のもと)『源氏物語』読解のコツ【PART1】

※この記事では、現代語訳を要点ごとに上げています。一文ごとの品詞分解と詳しい現代語訳は品詞分解と現代語訳のページでご確認ください。

目次

はじめに

 今回は『源氏物語』「若紫」の巻の話です。教科書では「小柴垣のもと」や「若紫」などという題名で載せています。光源氏の最愛の妻になる「紫の上」が登場するシーンです。文章が長いため、この記事はPART1(第1回・第2回)としてお届けします。続きのPART2(第3回・第4回)は以下をご覧ください。

『源氏物語』について

『源氏物語』については別のページで詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。

「若紫」(小柴垣のもと)要点・あらすじ・現代語訳〈第1回〉

 古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。

STEP
本文を読む

何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

STEP
登場人物を確認する

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。

STEP
内容を大まかに把握し、説明する

簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。

STEP
理解しにくい箇所の解説を見る

古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

STEP
改めて本文を解釈する

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

本文を読む

 何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。

⇡タップして画像を拡大できます↓

 日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたう霞(かす)みたるに紛(まぎ)れて、かの小柴垣(こしばがき)のもとに立ち出(い)で給(たま)ふ。人々は帰(かへ)し給ひて、惟光(これみつ)の朝臣(あそん)とのぞき給へば、ただこの西面(にしおもて)にしも、持仏(ぢぶつ)(す)ゑ奉(たてまつ)りて行(おこな)ふ、尼なりけり。簾(すだれ)少し上げて、花奉るめり。中の柱に寄りゐて、脇息(けふそく)の上に経(きやう)を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君(あまぎみ)、ただ人(びと)と見えず。四十(よそぢ)(よ)ばかりにて、いと白うあてに、痩(や)せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末(すゑ)も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなとあはれに見給ふ。
 きよげなる大人二人ばかり、さては童
(わらは)べぞ出(い)で入(い)り遊ぶ。中に、十(とを)ばかりにやあらむと見えて、白き衣(きぬ)、山吹(やまぶき)などの萎(な)えたる着て走り来(き)たる女子(をんなご)、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生(お)ひ先見えてうつくしげなる容貌(かたち)なり。髪は、扇(あふぎ)を広げたるやうにゆらゆらとして、顔は、いと赤くすりなして立てり。「何事(なにごと)ぞや。童べと腹立(はらだ)ち給へるか。」とて尼君の見上げたるに、少しおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ。
(『源氏物語』より)

文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。

登場人物の確認

・(光源氏)  ・惟光の朝臣  
・尼  ・きよげなる大人二人  
・女子 ・あまた見えつる子ども

本文に「光源氏」という文字は出てきませんが、惟光の朝臣が光源氏の腹心の家来であることを知っていると、「一緒にのぞいている」のは光源氏であることが分かります。

お話を簡単に理解

・夕暮れの霞んでいるのに紛れて、源氏たちは(僧都の家の)小柴垣のもとに行く
・他の家来たちは返して、惟光と家の中をのぞく
・家の中には、並の身分でないような四十歳くらいの髪を綺麗に削いだ尼がお経を読んでいる
・小綺麗な年配の女性が二人と、他に庭で遊んでいる子どもたちがいる
・その中に10歳くらいの、他の子とは比べ物にならないほどの、かわいらしい子がいる
・その女の子は、泣いている所を尼君になだめられている
・源氏は尼君の顔を見て、二人が似ているので親子ではないかと思う

理解しにくい箇所の解説を見る

 本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。

  • ただこの西面にしも、持仏据ゑ奉りて行ふ、尼なりけり
  • 髪のうつくしげにそがれたる末
  • なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな
  • いみじく生ひ先見えてうつくしげなる容貌なり
  • 少しおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ

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「若紫」(小柴垣のもと)読解のコツ 第2回

 では、続きを読んでいきましょう。今回も古文を読解する5つのコツをお話します。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。

STEP
本文を読む

何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

STEP
登場人物を確認する

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。

STEP
内容を大まかに把握し、説明する

簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。

STEP
理解しにくい箇所の解説を見る

古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

STEP
改めて本文を解釈する

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

本文を読む

 何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。

↑タップして画像を拡大できます↓

「雀(すずめ)の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。伏籠(ふせご)の内(うち)にこめたりつるものを。」とて、いと口惜(くちを)しと思へり。このゐたる大人(おとな)、「例(れい)の、心なしのかかるわざをしてさいなまるるこそ、いと心づきなけれ。いづ方(かた)へかまかりぬる。いとをかしうやうやうなりつるものを。烏(からす)などもこそ見つくれ。」とて立ちて行く。髪ゆるるかにいと長く、めやすき人なめり。少納言(せうなごん)の乳母(めのと)とぞ人言ふめるは、この子の後見(うしろみ)なるべし。  
 尼君
(あまぎみ)、「いで、あな幼(をさな)や。言ふかひなうものし給ふかな。おのがかく今日明日におぼゆる命をば何とも思(おぼ)したらで、雀慕(した)ひ給ふほどよ。罪得(う)ることぞと常に聞こゆるを、心憂(こころう)く。」とて、「こちや。」と言へば、ついゐたり。つらつきいとらうたげにて、眉(まゆ)のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額(ひたひ)つき、髪(かん)ざし、いみじううつくし。ねびゆかむさまゆかしき人かなと目とまり給ふ。さるは、限りなう心を尽くし聞こゆる人にいとよう似奉(たてまつ)れるが、まもらるるなりけりと思ふにも涙ぞ落つる。
(『源氏物語』より)

登場人物の確認

・(光源氏) ・尼君  
・大人(少納言の乳母)  
・女子(若紫) ・犬君

お話を簡単に理解(あらすじ)

・女の子は犬君が雀の子が逃がしたことを残念に思う
・大人の女房は、居抜きを叱りつけ、雀の行方を心配する
・大人の女房が「少納言の乳母」という人だと説明がある
・尼君が、女の子の幼い行動を叱り、生き物を捉える罪深さを訴える
・女の子の見た目も美しさの説明がある
・源氏は、女の子の行く末を見てみたいと思う
・一方で、源氏は女の子に藤壺の女御の面影を重ねて見る

※藤壺の宮は、源氏の義母です。「源氏物語あらすじ」に流れが分かる記述がありますので、以下をタップしてご覧ください。

理解しにくい箇所の解説を見る

 本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。

⑥例の、心なしの、かかるわざをしてさいなまるるこそ、いと心づきなけれ
⑦烏などもこそ見つくれ
⑧言ふかひなうものし給ふかな
⑨ねびゆかむさまゆかしき人かな
⑩さるは、限りなう心を尽くし聞こゆる人にいとよう似奉れるが、まもらるるなりけり

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おわりに(テスト対策へ)

今回は、『源氏物語』「若紫」(小柴垣のもと)のPART1(第1回・第2回)についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。

続きのPART2(第3回・第4回)では、尼君と年配の女房との和歌のやりとりや、尼君と僧都の会話、そして源氏の回想シーンが描かれます。ぜひあわせてご覧ください。

 また、『源氏物語』はあらすじだけでも知っておいてほしい物語です。あらすじと『源氏物語』を簡単に説明したページもあるので、またご覧ください。あと、あらすじを知るのはマンガも有効です。「あさきゆめみし」(大和和紀作)など読んでみてください。

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この記事を書いた人

古文指導歴25年。「受けるだけで15点上がる」古文の先生。難しい文法用語をかみくだいて、テストに直結する形で教えるのが得意です。無料サイト「スマホで学ぶ古文」でも150記事以上を公開中。

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