はじめに
今回は『平家物語』「木曽の最期」のPART2(第2回・第3回)です。前回の内容や出典である『平家物語』についてはPART1(第1回)で説明していますので、詳細は以下をタップしてご覧ください。

前回は、木曽殿が最後の戦いをするにあたって、寵愛していた巴を逃がしたシーンまでだったね。
「木曽の最期」読解のコツ 第2回
古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。


本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。


step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。



『平家物語』は口語体のため、読みやすいですが、文章は非常に長くなります。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、内容を想像してみるのが予習の最も大事なことです。特に初めて読むときは、意味調べはせずに読んでみましょう。今回は特に登場人物をしっかり確認し、それぞれがどのようなことを言っているか、どのような行動をしているかを考えていきましょう。




今井(いまゐの)四郎(しらう)・木曽殿、主従二騎になつてのたまひけるは、「日ごろはなにともおぼえぬ鎧(あぶみ)が、今日は重(おも)うなつたるぞや。」今井四郎申しけるは、「御身(おんみ)もいまだ疲れさせ給はず。御馬(おんま)も弱り候(さうら)はず。なにによつてか一両の御(おん)着背長(きせなが)を重うはおぼしめし候ふべき。それは御方(みかた)に御勢(おんせい)が候はねば、臆病でこそさはおぼしめし候へ。兼平一人(いちにん)候ふとも、余(よ)の武者千騎とおぼしめせ。矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢仕(つかまつ)らん。あれに見え候ふ、粟津(あはづ)の松原と申す。あの松の中で御(おん)自害候へ。」とて、打つて行くほどに、また新手(あらて)の武者五十騎ばかり出できたり。「君はあの松原へ入らせ給へ。兼平はこの敵防き候はん。」と申しければ、木曽殿のたまひけるは、「義仲都にていかにもなるべかりつるが、これまで逃れくるは、汝(なんぢ)と一所(いつしよ)で死なんと思ふためなり。ところどころで討たれんよりも、ひとところでこそ討ち死にをもせめ。」とて、馬の鼻を並べて駆けんとし給へば、今井四郎馬より飛び降り、主(しゆう)の馬の口に取りついて申しけるは、「弓矢とりは、年ごろ、日ごろいかなる高名(かうみやう)候へども、最後の時不覚しつれば、ながき疵(きず)にて候ふなり。御身は疲れさせ給ひて候ふ。続く勢は候はず。敵に押しへだてられ、いふかひなき人の郎等(らうどう)に組み落とされさせ給ひて、討たれさせ給ひなば、『さばかり日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる』なんど申さんことこそ口惜しう候へ。ただあの松原へ入らせ給へ。」と申しければ、木曽、「さらば。」とて、粟津の松原へぞ駆け給ふ。
(『平家物語』より)
登場人物の確認
第2回の登場人物は以下のとおりです。
・木曽殿(左馬頭兼伊予守、朝日の将軍、源義仲)→主人公
・今井四郎兼平→義仲の忠臣、兼平の父が義仲を養育した
内容を簡単に理解
・今井兼平と二人きりになった木曽殿は弱音を吐く
・今井兼平は木曽殿を叱咤激励し、粟津の松原で自害するよう進言する
・木曽殿は今井兼平と一緒に死にたい、同じところで討ち死にすればよいと言う
・今井兼平は、武士が下級兵に殺されるのは恥なので、自害するよう強く進める
・木曽殿は、今井兼平の意見を受け入れる
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
④兼平一人候ふとも、余の武者千騎とおぼしめせ。矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢仕らん。
⑤義仲都にていかにもなるべかりつるが
⑥弓矢とりは、年ごろ、日ごろいかなる高名候へども、最後の時不覚しつれば、ながき疵にて候ふなり。
⑦御身は疲れさせ給ひて候ふ。
⑧さばかり日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる
「木曽の最期」読解のコツ 第3回
では、続きを読んでいきましょう。今回は以下の4つを中心に行います。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。


本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
今回は詳しく解説するところがありませんので、一文ずつ読みながら内容を確認してみてください。ただし、解釈する上で知っておいてほしいところは補足してありますので、そちらも読んでみましょう。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、内容を想像してみるのが予習の最も大事なことです。特に初めて読むときは、意味調べはせずに読んでみましょう。今回は特に登場人物をしっかり確認し、それぞれがどのようなことを言っているか、どのような行動をしているかを考えていきましょう。






今井四郎ただ一騎、五十騎ばかりが中へ駆け入り、鐙(あぶみ)ふんばり立ちあがり、大音声(だいおんじやう)あげて名のりけるは、「日ごろは音にも聞きつらん、今は目にも見給へ。木曽殿の御(おん)乳母子(めのとご)、今井四郎兼平、生年(しやうねん)三十三にまかりなる。さるものありとは鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ。兼平討つて見参(げんざん)にいれよ。」とて射残したる八筋(やすぢ)の矢を、差しつめ引きつめさんざんに射る。死生(ししやう)は知らず、やにはに敵八騎射落とす。その後打物(うちもの)抜いて、あれに馳(は)せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、面(おもて)を合はするものぞなき。分どりあまたしたりけり。ただ、「射とれや。」とて、中に取り込め、雨の降るやうに射けれども、鎧(よろひ)よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
木曽殿はただ一騎、粟津の松原へ駆け給ふが、正月二十一日、入相(いりあひ)ばかりのことなるに、薄氷は張つたりけり、深田(ふかた)ありとも知らずして、馬をざつとうち入れたれば、馬の頭(かしら)も見えざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。今井が行方のおぼつかなさに、振り仰ぎ給へる内甲(うちかぶと)を、三浦(みうらの)石田(いしだの)次郎(じらう)為久(ためひさ)、追つかかつて、よつ引(ぴ)いてひやうふつと射る。痛手なれば、真甲(まつかう)を馬の頭に当てて、うつぶし給へるところに、石田が郎等二人(ににん)落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。太刀の先に貫き、高く差し上げ、大音声をあげて、「この日ごろ日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、三浦石田次郎為久が討ちたてまつたるぞや。」と名のりければ、今井四郎いくさしけるが、これを聞き、「今はたれを庇(かば)はんとてか、いくさをもすべき。これを見給へ、東国の殿ばら、日本一の剛(かう)の者の自害する手本。」とて、太刀の先を口に含み、馬より逆さまに飛び落ち、貫(つらぬ)かつてぞ失(う)せにける。
さてこそ粟津(あはづ)のいくさはなかりけれ。
(『平家物語』より)
登場人物の確認
第3回の登場人物は以下のとおりです。
・木曽殿(左馬頭兼伊予守、朝日の将軍、源義仲)→主人公
・今井四郎兼平→義仲の忠臣、兼平の父が義仲を養育した
・三浦の石田次郎為久→三浦為継の子孫 家来二人が木曽殿の首をとる
内容を簡単に理解
・木曽殿が去った後、今井兼平は一人で敵に向かって威勢よく名乗りを上げる
・今井兼平は敵に矢を放つ 相手も大量の矢を放つ
・木曽殿は粟津の松原へ駆けるが、馬に乗ったまま土の深い田に入ってしまう
・三浦の石田次郎為久に追いつかれ、矢を射られてしまう
・最期は石田の家来に首をはねられる
・今井兼平は木曽殿の死を耳にして、馬から飛び落ちて自害する
文章の確認
今回は特に詳しく解説する箇所もないので、本文と現代語訳をそれぞれ見ながら内容を確認していきましょう。ところどころ、解説を挟んでいます。
おわりに(テスト対策へ)
今回で「木曽の最期」は終わりです。木曽殿も今井四郎も壮絶な最期を遂げましたね。今度はテスト対策編もご覧ください。
『平家物語』は単なる戦いの記録ではなく、そこに様々な人間模様が現れているのが非常に面白いですね。『平家物語』は様々な入門書や漫画、アニメも作られているので、時間があるときにぜひ見てみてください。
読んでいただきありがとうございます!
この記事が役に立ったと思ったら、ぜひ他の記事もご覧ください。
もしよければ、友だちにもシェアしていただけるとうれしいです😊








