「木曽の最期」テスト対策〈第二回〉
『木曽殿の最期』の中盤部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。
古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。
「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。
ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。
いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。
本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。「スマホで学ぶ古文」は文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。
本文の確認〈第二回〉
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。
今井四郎・木曽殿、主従二騎になつてのたまひけるは、「日ごろはなにともおぼえぬ鎧が、今日は重うなつたるぞや。」今井四郎申しけるは、「御身もいまだ疲れさせ給はず。御馬も弱り候はず。なにによつてか一両の御着背長を重うはおぼしめし候ふべき。それは御方に御勢が候はねば、臆病でこそさはおぼしめし候へ。兼平一人候ふとも、余の武者千騎とおぼしめせ。矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢仕らん。あれに見え候ふ、粟津の松原と申す。あの松の中で御自害候へ。」とて、打つて行くほどに、また新手の武者五十騎ばかり出できたり。「君はあの松原へ入らせ給へ。兼平はこの敵防き候はん。」と申しければ、木曽殿のたまひけるは、「義仲都にていかにもなるべかりつるが、これまで逃れくるは、汝と一所で死なんと思ふためなり。ところどころで討たれんよりも、ひとところでこそ討ち死にをもせめ。」とて、馬の鼻を並べて駆けんとし給へば、今井四郎馬より飛び降り、主の馬の口に取りついて申しけるは、「弓矢とりは、年ごろ、日ごろいかなる高名候へども、最後の時不覚しつれば、ながき疵にて候ふなり。御身は疲れさせ給ひて候ふ。続く勢は候はず。敵に押しへだてられ、いふかひなき人の郎等に組み落とされさせ給ひて、討たれさせ給ひなば、『さばかり日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる』なんど申さんことこそ口惜しう候へ。ただあの松原へ入らせ給へ。」と申しければ、木曽、「さらば。」とて、粟津の松原へぞ駆け給ふ。(『平家物語』より)
この文章の前の部分は以下をご覧ください。
読みで問われやすい語〈第二回〉
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 日ごろはなにともおぼえぬ鎧が、
- なにによつてか一両の御着背長を重うはおぼしめし候ふべき。
- しばらく防き矢仕らん。
- 汝と一所で死なんと思ふためなり。
- 最後の時不覚しつれば、ながき疵にて候ふなり。
- いふかひなき人の郎等に組み落とされさせ給ひて、
- 申さんことこそ口惜しう候へ。
解答はこちら(タップで表示)
「鎧」は「よろい」、「着背長」は「きせなが」、「候ふ」は「そうろう」、「仕(ら)」は「つかまつ(ら)」、「汝」は「なんじ」、「不覚」は「ふかく」、「疵」は「きず」、「郎等」は「ろうどう」、「口惜(しう)」は「くちお(しゅう)」です。すべて現代語訳で示しています。
あらすじの確認〈第二回〉
- 今井兼平と二人きりになった木曽殿は弱音を吐く
- 今井兼平は木曽殿を叱咤激励し、粟津の松原で自害するよう進言する
- 木曽殿は今井兼平と一緒に死にたい、同じところで討ち死にすればよいと言う
- 今井兼平は、武士が下級兵に殺されるのは恥なので、自害するよう強く進める
- 木曽殿は、今井兼平の意見を受け入れる
出題ポイント〈第二回〉
以下の項目が何も見ずに訳すことができるか。確認してください。
- 兼平一人候ふとも、余の武者千騎とおぼしめせ。矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢仕らん。
- 義仲都にていかにもなるべかりつるが
- 弓矢とりは、年ごろ、日ごろいかなる高名候へども、最後の時不覚しつれば、ながき疵にて候ふなり。
- 御身は疲れさせ給ひて候ふ
- さばかり日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる
文学史・文学作品の確認
今回の「木曽殿の最期」は『平家物語』の一節です。『平家物語』は、平家一門の盛衰を描く軍記物語(戦記物語)です。「諸行無常」、「盛者必衰」という仏教的無常観に基づいて平家の権勢の興隆もやがて衰えていくことを語っています。原作者・成立年代は分かっていませんが,13世紀の末には盲目の琵琶法師たちによって語り伝えられ、それが徐々に加筆・修正を加えられて今の形になったと考えられています。ただ、『徒然草』の中で、信濃前司行長が書いたとあります。
琵琶法師が話を語る形式のため、文章は口語体で読みやすく、音便も多く用いられています。また、現代の言葉と同じように、漢語と和語を融合させた文体です。これを「和漢混淆文」(わかんこんこうぶん)といいます。以上が簡単な『平家物語』の説明です。

練習問題(一問一答&文法問題)〈第二回〉
では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。
「木曽の最期」テスト対策〈第三回〉
続いて、『木曽殿の最期』の後半部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。
本文の確認〈第三回〉
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。
今井四郎ただ一騎、五十騎ばかりが中へ駆け入り、鐙ふんばり立ちあがり、大音声あげて名のりけるは、「日ごろは音にも聞きつらん、今は目にも見給へ。木曽殿の御乳母子、今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる。さるものありとは鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ。兼平討つて見参にいれよ。」とて射残したる八筋の矢を、差しつめ引きつめさんざんに射る。死生は知らず、やにはに敵八騎射落とす。その後打物抜いて、あれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、面を合はするものぞなき。分どりあまたしたりけり。ただ、「射とれや。」とて、中に取り込め、雨の降るやうに射けれども、鎧よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
木曽殿はただ一騎、粟津の松原へ駆け給ふが、正月二十一日、入相ばかりのことなるに、薄氷は張つたりけり、深田ありとも知らずして、馬をざつとうち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。今井が行方のおぼつかなさに、振り仰ぎ給へる内甲を、三浦石田次郎為久、追つかかつて、よつ引いてひやうふつと射る。痛手なれば、真甲を馬の頭に当てて、うつぶし給へるところに、石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。太刀の先に貫き、高く差し上げ、大音声をあげて、「この日ごろ日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、三浦石田次郎為久が討ちたてまつたるぞや。」と名のりければ、今井四郎いくさしけるが、これを聞き、「今はたれを庇はんとてか、いくさをもすべき。これを見給へ、東国の殿ばら、日本一の剛の者の自害する手本。」とて、太刀の先を口に含み、馬より逆さまに飛び落ち、貫かつてぞ失せにける。
さてこそ粟津のいくさはなかりけれ。(『平家物語』より)
この文章の前の部分は第二回部分と、以下のPART1をご覧ください。
読みで問われやすい語〈第三回〉
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 鐙ふんばり立ちあがり、大音声あげて名のりけるは、
- 木曽殿の御乳母子、今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる。
- その後打物抜いて、あれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、
- 鎧よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
- 正月二十一日、入相ばかりのことなるに、
- 石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。
- 今はたれを庇はんとてか、いくさをもすべき。
解答はこちら(タップで表示)
「鐙」は「あぶみ」、「大音声」は「だいおんじょう」、「乳母子」は「めのとご」、「打者」は「うちもの」、「馳(せ)」は「は(せ)」、「鎧」は「よろい」、「入相」は「いりあい」、「郎等」は「ろうどう」、「庇(はん)」は「かば(わん)」です。すべて現代語訳で示しています。
あらすじの確認〈第三回〉
・木曽殿が去った後、今井兼平は一人で敵に向かって威勢よく名乗りを上げる
・今井兼平は敵に矢を放つ 相手も大量の矢を放つ
・木曽殿は粟津の松原へ駆けるが、馬に乗ったまま土の深い田に入ってしまう
・三浦の石田次郎為久に追いつかれ、矢を射られてしまう
・最期は石田の家来に首をはねられる
・今井兼平は木曽殿の死を耳にして、馬から飛び落ちて自害する
出題ポイント〈第三回〉
今回は、文の中でここが出題されるというポイントはあまりありません。全体で内容をつかむことと、文法的な理解をすることができればよいと思います。「読解のコツ」記事の「文章の確認」を読んで、大きく内容をつかんでみてください。特に、現代語訳で気をつけたいところは、後の「読解一問一答5選」で確認してみてください。
練習問題(一問一答&文法問題)〈第三回〉
では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。
おわりに
今回は、『平家物語』「木曽の最期」の中盤〜終盤、木曽義仲と今井四郎兼平との深い信頼関係、そして二人の最期について復習しました。『平家物語』は「無常観」をベースにして文章が描かれているので、登場人物の最期も生き生きと描かれます。テンポがよいので、非常に読んでいて心地の良い文章でもあります。ぜひ授業で読んだものだけでなく、その他の文章にも触れてもらいたいと思っています。
読んでいただきありがとうございます!
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