「源氏の五十余巻」(物語)『更級日記』読解のコツ《完全版》

※この記事では、現代語訳を要点ごとに上げています。一文ごとの品詞分解と詳しい現代語訳は品詞分解と現代語訳のページでご確認ください。

目次

はじめに

 今回は『更級日記』です。教科書では「源氏の五十余巻」や「物語」という題名で載せています。『更級日記』については「東路の道の果て」で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。

「源氏の五十余巻」(物語)要点・あらすじ・現代語訳〈第1回〉

 古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。

STEP
本文を読む

何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

STEP
登場人物を確認する

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。

STEP
内容を大まかに把握し、説明する

簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。

STEP
理解しにくい箇所の解説を見る

古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

STEP
改めて本文を解釈する

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

本文を読む

 何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。

⇡タップして画像を拡大できます↓

 かくのみ思ひくんじたるを、心も慰(なぐさ)めむと心苦しがりて、母、物語など求めて見せ給(たま)ふに、げにおのづから慰みゆく。紫(むらさき)のゆかりを見て、続きの見まほしくおぼゆれど、人語(ひとかた)らひなどもえせず。誰(たれ)もいまだ都(みやこ)(な)れぬほどにて、え見つけず。いみじく心もとなく、ゆかしくおぼゆるままに、「この源氏(げんじ)の物語、一(いち)の巻(まき)よりして、みな見せ給へ。」と心の内(うち)に祈(いの)る。親の太秦(うづまさ)に籠(こ)もり給へるにも、異事(ことごと)なくこのことを申して、出(い)でむままにこの物語見果(みは)てむと思へど、見えず。いと口惜(くちを)しく、思ひ嘆(なげ)かるるに、をばなる人の田舎(ゐなか)より上(のぼ)りたる所に渡(わた)いたれば、「いとうつくしう生(お)ひなりにけり。」など、あはれがり、めづらしがりて、帰るに、「何をか奉(たてまつ)らむ。まめまめしきものはまさなかりなむ。ゆかしくし給ふなるものを奉らむ。」とて、源氏の五十余巻(ごじふよまき)、櫃(ひつ)に入(い)りながら、ざい中将(ちゆうじやう)、とほぎみ、せり河(かは)、しらら、あさうづなどいふ物語ども、一袋(ひとふくろ)取り入れて、得(え)て帰る心地(ここち)のうれしさぞいみじきや。(『更級日記』より)

 文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。

登場人物の確認

・作者  ・母  ・をばなる人

お話を簡単に理解(あらすじ)

・ふさぎこんでいる作者を慰めようと、母が物語を見せてくれる
・気持ちが慰められていく
・『源氏物語』を見て、続きが見たいけど、見つけられない
・見たいという気持ちが募って心の中で祈り続ける
・籠もっていた太秦の寺を出ても、なかなか見ることはできない
・ある日、「をばなる人」のもとに親に連れられて行く
・「をばなる人」が、帰り際にお土産をくれる
・お土産の中身は作者の欲しかった『源氏物語』などであった
・作者はこの上ない喜びで家に帰る

理解しにくい箇所の解説を見る

 本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。

  • げにおのづから慰みゆく
  • いみじく心もとなく、ゆかしくおぼゆるままに、
  • 出でむままに、この物語見果てむ
  • 「いとうつくしう、生ひなりにけり」
  • 何をか奉らむ、まめまめしきものは、まさなかりなむ

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「源氏の五十余巻」(物語)読解のコツ 第2回

 では、続きを読んでいきましょう。古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。

STEP
本文を読む

何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

STEP
登場人物・場面を確認する

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。

STEP
内容を大まかに把握し、説明する

簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。

STEP
理解しにくい箇所の解説を見る

古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

STEP
改めて本文を解釈する

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

本文を読む

 何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。今回は特に登場人物をしっかり確認し、それぞれがどのようなことを言っているか、どのような行動をしているかを考えていきましょう。今回は2回目なので、前半部の内容を思い出しながら読んでみましょう。

↑タップして画像を拡大できます

 かくのみ思ひくんじたるを、心も慰(なぐさ)めむと心苦しがりて、母、物語など求めて見せ給(たま)ふに、げにおのづから慰みゆく。紫(むらさき)のゆかりを見て、続きの見まほしくおぼゆれど、人語(ひとかた)らひなどもえせず。誰(たれ)もいまだ都(みやこ)(な)れぬほどにて、え見つけず。いみじく心もとなく、ゆかしくおぼゆるままに、「この源氏(げんじ)の物語、一(いち)の巻(まき)よりして、みな見せ給へ。」と心の内(うち)に祈(いの)る。親の太秦(うづまさ)に籠(こ)もり給へるにも、異事(ことごと)なくこのことを申して、出(い)でむままにこの物語見果(みは)てむと思へど、見えず。いと口惜(くちを)しく、思ひ嘆(なげ)かるるに、をばなる人の田舎(ゐなか)より上(のぼ)りたる所に渡(わた)いたれば、「いとうつくしう生(お)ひなりにけり。」など、あはれがり、めづらしがりて、帰るに、「何をか奉(たてまつ)らむ。まめまめしきものはまさなかりなむ。ゆかしくし給ふなるものを奉らむ。」とて、源氏の五十余巻(ごじふよまき)、櫃(ひつ)に入(い)りながら、ざい中将(ちゆうじやう)、とほぎみ、せり河(かは)、しらら、あさうづなどいふ物語ども、一袋(ひとふくろ)取り入れて、得(え)て帰る心地(ここち)のうれしさぞいみじきや。
 はしるはしる、わづかに見つつ、心も得(え)ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻(まき)よりして、人も交(ま)じらず、几帳(きちやう)の内にうち臥(ふ)して、引き出でつつ見る心地、后(きさき)の位(くらゐ)も何にかはせむ。昼は日ぐらし、夜は目の覚めたる限り、灯(ひ)を近くともして、これを見るよりほかのことなければ、おのづからなどは、そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに、夢に、いと清げなる僧の黄なる地(ぢ)の袈裟(けさ)着たるが来て、「法華経(ほけきやう)五の巻(まき)をとく習へ。」と言ふと見れど、人にも語らず、習はむとも思ひかけず、物語のことをのみ心にしめて、我はこのごろわろきぞかし、さかりにならば、かたちも限りなくよく、髪もいみじく長くなりなむ、光(ひかる)の源氏(げんじ)の夕顔(ゆふがほ)、宇治(うぢ)の大将(だいしやう)の浮舟(うきふね)の女君(をんなぎみ)のやうにこそあらめと思ひける心、まづいとはかなく、あさまし。

(『更級日記』より)

登場人物の確認

  • 作者(少女時代の)
  • いと清げなる僧
  • 作者(現在の)

『更級日記』は「日記」とはありますが、実際は晩年に描いたものなので、「年を取った自分が少女時代を回想して書いている」文章です。お話の基本は少女時代の作者ですが、文章の最後に、現在の作者自身が過去の自分への感想を述べる箇所があります。

お話を簡単に理解(あらすじ)

・ふさぎこんでいる作者を慰めようと、母が物語を見せてくれる
・気持ちが慰められていく
・『源氏物語』を見て、続きが見たいけど、見つけられない
・見たいという気持ちが募って心の中で祈り続ける
・籠もっていた太秦の寺を出ても、なかなか見ることはできない
・ある日、「をばなる人」のもとに親に連れられて行く
・「をばなる人」が、帰り際にお土産をくれる
・お土産の中身は作者の欲しかった『源氏物語』などであった
・作者はこの上ない喜びで家に帰る
ーーーここから第二回ーーー
・以前は断片的にしか読めなかった『源氏物語』をすべて読めるようになった
・几帳の中で本を読む気持ちは、天にも昇る気持ちである
・一日中本を読み、自然と話を思い浮かべられるくらいになる
・夢の中で美しい僧が「法華経の五の巻」を習うように言うが、無視する
・頭の中は物語でいっぱいで、源氏物語のことばかり考えている
・今の作者から見て、当時の自分はあまりに幼いと思う

理解しにくい箇所の解説を見る

 本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。

  • ⑥后の位も何にかはせむ
  • ⑦夢に、いと清げなる僧の黃なる地の袈裟着たるが来て
  • ⑧われはこのごろわろきぞかし
  • ⑨まづいとはかなく、あさまし

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おわりに(テスト対策へ)

今回は、『更級日記』「源氏の五十余巻」(物語)についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。

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この記事を書いた人

古文指導歴25年。「受けるだけで15点上がる」古文の先生。難しい文法用語をかみくだいて、テストに直結する形で教えるのが得意です。無料サイト「スマホで学ぶ古文」でも150記事以上を公開中。

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