はじめに
今回は『枕草子』23段「すさまじきもの」です。 『枕草子』は平安時代中期、11世紀初頭(西暦1001年ころ)に成立した、いわゆる「三大古典随筆」の一つです。『枕草子』は以下のページで詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。

今回の「すさまじきもの」は(1)の「類聚(類集)的章段」の一節になります。「類聚(類集)的章段」は、「〜は」で始まるものと、「〜もの」ではじまるものが多く、「ものづくし」とも呼ばれます。自然や人事を特色によって集め表現したものです。今回は「すさまじきもの」をたくさん集めています。実際の文章で確認してみましょう。
「すさまじきもの」要点・あらすじ・現代語訳〈第1回〉
古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。


すさまじきもの、昼ほゆる犬。春の網代(あじろ)。三(さん)、四(し)月(ぐわつ)の紅梅(こうばい)の衣(きぬ)。牛死にたる牛飼(うしか)ひ。乳児(ちご)亡(な)くなりたる産屋(うぶや)。火おこさぬ炭櫃(すびつ)、地火炉(ぢくわろ)。博士(はかせ)のうち続き女児(をんなご)生ませたる。方違(かたたが)へに行きたるに、あるじせぬ所。まいて節分(せちぶん)などは、いとすさまじ。(中略)
除目(ぢもく)に司(つかさ)得(え)ぬ人の家。今年は必ずと聞きて、はやうありし者どもの、ほかほかなりつる、田舎(ゐなか)だちたる所に住む者どもなど、みな集まり来て、出(い)で入(い)る車の轅(ながえ)もひまなく見え、物詣(ものまう)でする供(とも)に、我も我もと参り仕(つか)うまつり、もの食ひ、酒飲み、ののしりあへるに、果(は)つる暁(あかつき)まで門(かど)たたく音もせず。あやしうなど耳立てて聞けば、前駆(さき)追ふ声々などして、上達部(かんだちめ)などみな出(い)で給ひぬ。もの聞(ぎ)きに夜より寒がりわななきをりける下衆(げす)男(をとこ)、いともの憂(う)げに歩(あゆ)み来るを見る者どもは、え問ひだにも問はず。ほかより来(き)たる者などぞ、「殿は何にかならせ給(たま)ひたる。」など問(と)ふに、いらへには、「何の前司(ぜんじ)にこそは。」などぞ必ずいらふる。まことに頼(たの)みける者は、いと嘆(なげ)かしと思へり。つとめてになりて、ひまなくをりつる者ども、一人二人すべり出(い)でて去(い)ぬ。古き者どものさもえ行き離(はな)るまじきは、来年の国々、手を折りてうち数へなどして、ゆるぎありきたるも、いとをかし。すさまじげなり。
(『枕草子』より)
登場人物の確認
通常、「ものづくし」は、自然や人事を特色によって集め表現したものなので、物語や日記とは異なり、登場人物はあまり出てくることはありません。ただ、「除目で司得ぬ人の家」には数人の登場人物が出てきますので、ここで挙げておきます。
・早うありし者どものほかほかなりつる
・田舎だちたる所に住む者ども
・上達部など
・下衆男
お話を簡単に理解(あらすじ)
・「すさまじきもの」の紹介
1 昼ほゆる犬(番犬として夜鳴くのを期待)
2 春の網代(秋から冬にかけて氷魚を捕る仕掛け)
3 三、四月の紅梅の衣(季節外れ)
4 牛死にたる牛飼ひ
5 ちご亡くなりたる産屋
6 火おこさぬ炭櫃、地火炉
7 博士うち続き女子産ませたる(博士は男のみ)
8 方違へに行きたるに、あるじせぬ所。(暗黙の了解を守らない)
9除目に司得ぬ人の家
→今年は必ず官職を得られるだろうと以前仕えていた人たちが集まってくるが、残念ながら落選してしまう。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- すさまじきもの
- 方違へに行きたるに、あるじせぬ所
- 除目に司得ぬ人
- 早うありし者どものほかほかなりつる
- 上達部などみな出でたまひぬ
- 見る者どもはえ問ひにだにも問はず
「すさまじきもの」読解のコツ 第2回
では、続きを読んでいきましょう。「除目に司得ぬ人の家」の続きを一緒に読んでいきます。古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

前回、除目の結果を伝えに来た下衆男は、つらそうな顔で戻ってきましたね。その続きから読んでいきましょう。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。




除目(ぢもく)に司(つかさ)得(え)ぬ人の家。今年は必ずと聞きて、はやうありし者どもの、ほかほかなりつる、田舎(ゐなか)だちたる所に住む者どもなど、みな集まり来て、出(い)で入(い)る車の轅(ながえ)もひまなく見え、物詣(ものまう)でする供(とも)に、我も我もと参り仕(つか)うまつり、もの食ひ、酒飲み、ののしりあへるに、果(は)つる暁(あかつき)まで門(かど)たたく音もせず。あやしうなど耳立てて聞けば、前駆(さき)追ふ声々などして、上達部(かんだちめ)などみな出(い)で給ひぬ。もの聞(ぎ)きに夜より寒がりわななきをりける下衆(げす)男(をとこ)、いともの憂(う)げに歩(あゆ)み来るを見る者どもは、え問ひだにも問はず。ほかより来(き)たる者などぞ、「殿は何にかならせ給(たま)ひたる。」など問(と)ふに、いらへには、「何の前司(ぜんじ)にこそは。」などぞ必ずいらふる。まことに頼(たの)みける者は、いと嘆(なげ)かしと思へり。つとめてになりて、ひまなくをりつる者ども、一人二人すべり出(い)でて去(い)ぬ。古き者どものさもえ行き離(はな)るまじきは、来年の国々、手を折りてうち数へなどして、ゆるぎありきたるも、いとをかし。すさまじげなり。
(『枕草子』より)
登場人物の確認
・外より来たる者ども
・頼みける者
・ひまなくをりつる者ども
・古き者どもの、さもえ行き離るまじき
この中の多くが、「除目に司得ぬ人」に仕える人や以前仕えていた人たちです。
お話を簡単に理解(あらすじ)
【除目に司得ぬ人の家】
・今年は必ず官職を得られるだろうと以前仕えていた人たちが集まってくるが、残念ながら落選してしまう
・他から来た者が空気を読まずに結果を尋ねると、婉曲的な返事をする
・主人の任官を当てにしていた者たちは嘆いている
・翌朝、大勢いた者たちが一人、二人とそっと去っていく
・長く仕えている者は来年の除目の候補を探って、強がって歩く
・このような様子が滑稽でもあり、興ざめでもある
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
⑦「何の前司にこそは」
⑧古き者どもの、さもえ行き離るまじきは
⑨ゆるぎありきたるも
今回の文章は「すさまじきもの」です。「すさまじ」とはどのような意味かを再確認するために、まず下の板書バネルを見てから先に進んでください。


おわりに(テスト対策へ)
今回は、『枕草子』23段「すさまじきもの」についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。
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