はじめに
今回は『紫式部日記』です。教科書では「水鳥の足」「うきたる世」など様々な題名で掲載されています。また、「若宮誕生」という題名でも掲載されていますが、今回の文章の前の部分も掲載されています。
多くの人がこの文章で初めて「紫式部日記」に触れるでしょうから、まずは、「紫式部日記」について、簡単に説明しておきましょう。
『紫式部日記』について
『紫式部日記』は、ジャンルとしては「日記」(仮名日記)に位置づけされます。
作者は紫式部です。中宮彰子の出産の記録を中心に、同僚の人物や中宮(皇后)定子に仕える清少納言の人物像や宮廷生活での自身の苦悩が描かれています。
中宮彰子とは、藤原道長の娘である彰子のことで、一条天皇の中宮となります。一条天皇の中宮としてはすでに藤原道隆の娘である定子がついていましたが、当時すでに権力を握っていた父藤原道長が一帝二后の制を始めて、定子を皇后に、彰子を中宮にします。これが長保元(999)年彰子が女御として入内した翌年のことです。その後、皇后定子は亡くなり、彰子が名実ともに中宮として一時代を築いていきます。
さて、『紫式部日記』に戻ります。これは全2巻で紫式部が中宮彰子に仕えた寛弘五(1008)年秋から寛弘七(1010)年正月までの記録です。中宮定子が実家道長邸で出産する記事から始まって、宮廷の儀式や風俗などを記しています。さらに、消息文(手紙風の文章)では、同僚の女房(和泉式部や赤染衛門など)や清少納言らへの批評などを記します。その他にも処世訓や芸術観などが見られます。
このような華やかな宮廷生活の裏で、それに馴染めない作者の苦悩が読み取れる作品です。
以上が、『紫式部日記』の簡単な説明です。

「水鳥の足」(うきたる世・若宮誕生)『紫式部日記』要点・あらすじ・現代語訳
古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。


行幸(ぎやうがう)近くなりぬとて、殿(との)のうちをいよいよつくろひみがかせ給ふ。よにおもしろき菊の根をたづねつつ、掘りて参る。いろいろうつろひたるも、黄(き)なるが見どころあるも、さまざまに植(う)ゑたてたるも、朝霧(あさぎり)の絶え間に見わたしたるは、げに老いもしぞきぬべき心地するに、なぞや、まして、思ふことの少しもなのめなる身ならましかば、すきずきしくももてなし、若やぎて、つねなき世をも過ぐしてまし、めでたきこと、おもしろきことを見聞くにつけても、ただ思ひかけたりし心のひくかたのみ強くて、もの憂(う)く、思はずに、嘆かしきことのまさるぞ、いと苦しき。いかで、今はなほもの忘れしなむ、思ふかひもなし、罪も深かなりなど、明けたてばうちながめて、水鳥どもの思ふことなげに遊びあへるを見る。
水鳥を水の上とやよそに見む我もうきたる世を過ぐしつつ
かれも、さこそ心をやりて遊ぶと見ゆれど、身はいと苦しかんなりと、思ひよそへらる。
(『紫式部日記』より)
文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。
登場人物の確認
- 作者(紫式部)
今回は、主に華やかな宮仕え生活に馴染めない作者の苦悩が描かれていますので、一人称で文章が綴られています。
お話を簡単に理解(あらすじ)
- 道長邸への天皇のお出ましが近づいているので、屋敷を美しく手入れさせている。
- 美しい根株のある菊の花を探し出しては、掘って献上する。
- 様々な菊を見て、若返りそうな気がするのに、つらく嘆かわしいことが勝って苦しい。
- 物思いが人並みでないので、風流に振る舞ったり、若々しく無情なこの世を過ごすことができない。
- 趣深いことを見聞きしても出家の思いが心を引きつける。
- そのような思いを忘れてしまおうと夜明けに外を眺めると水鳥が遊んでいる。
- 水鳥に自分の思いを重ね合わせる歌を詠む。
- 水鳥も気ままに遊んでいるように見えるが、水の中では苦しいのだろうと自分をなぞらえる。
各文の品詞分解について
一文ごとの品詞分解と現代語訳は、別のページに掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- 黄なるが見どころあるも、
- げに老いもしぞきぬべき心地するに、なぞや、
- いかで、今はなほもの忘れしなむ、思ふかひもなし、罪も深かなり
- 水鳥を水の上とやよそに見む我もうきたる世を過ぐしつつ
《前提の確認》
おわりに
テスト対策へ
今回は、『紫式部日記』の「水鳥の足」(うきたる世)についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。
読んでいただきありがとうございます!
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