はじめに

今回は『方丈記』ですよね。古典三大随筆の1つだと聞きましたが、他には『徒然草』くらいしか知らないんですよ。



それを知っているだけでも、大したものだと思うよ。じゃあ、今回はその有名な冒頭文に触れていこう!その前に、少し『方丈記』についての解説もするね。
『方丈記』について
今回は、『方丈記』の冒頭をやっていきましょう。まず、『方丈記』ですが、これは古典三大随筆の一つで、鴨長明が仏教的無常観に基づいて書いた、鎌倉時代前期の随筆です。『方丈記』の特徴をまとめたものを、以下に示しておきます。詳しくはこちらをご覧ください。


ちなみに、古典三大随筆とは、『枕草子』『方丈記』『徒然草』の3つを言います。


「ゆく河の流れ」要点・あらすじ・現代語訳
この文章を理解するための5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。


簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
「ゆく川の流れ」には多くの対句が用いられています。文章を読みながらどこが対句になっているのか、考えてみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。


step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。今回は随筆であり、作者の意見が述べられている文章なので、分からない言葉がある中でも「どのようなことを言っているか」を考えていきます。『方丈記』は対句が多用された非常に美しい文章です。流れ(リズム)を意識して文章が読めるといいですね。


ゆく河(かは)の流れは絶(た)えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結(むす)びて、久(ひさ)しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。
たましきの都のうちに棟(むね)を並(なら)べ、甍(いらか)を争へる、高きいやしき人の住まひは、世々(よよ)を経(へ)て尽(つ)きせぬものなれど、これをまことかと尋(たづ)ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年(こぞ)焼けて今年(ことし)作れり。あるいは大家(おほいへ)ほろびて小家(こいへ)となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず人も多(おほ)かれど、いにしへ見し人は、二三十人がうちに、わづかに一人二人なり。朝(あした)に死に、夕(ゆふ)べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづ方(かた)より来(きた)りて、いづ方(かた)へか去る。また知らず、仮(かり)の宿(やど)り、誰(た)がためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その主(あるじ)と栖(すみか)と無常(むじやう)を争(あらそ)ふさま、いはば朝顔(あさがほ)の露(つゆ)に異(こと)ならず。あるいは露(つゆ)落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯(か)れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。
(『方丈記』より)
登場人物の確認
今回は作者の考えを述べたものなので、登場人物はありません。
お話を簡単に理解(あらすじ)
- ゆく川の流れは絶えることなくしかもその水はもとの水ではない
- よどみに浮かんでいる泡は一方では消え続け一方では生まれ続ける
- 世の中にある人間や住居も「川の流れ」と同じ
- 人間は都の中で建てる家の大きさを競い合う
- 一方で時間が経つとそれらの家はなくなっている
- 人間も同じで、時間が経つとその場所にはいなくなる
- 人間も建物も無常であるが、それは朝顔の露と同じだ
各文の品詞分解について
一文ごとの品詞分解と現代語訳は、別のページに掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。
対句を見つける
この文章は、多くの対句が使われています。それをできるだけ挙げてみましょう。



対句というのは、対(2つで1セットのもの)になる言葉のことです。似たような形が2つ並んでいるので、見分けはつきやすいと思います。今回は非常にたくさんあるので、一つ一つ見ていきましょう!
この文章は、多くの対句が使われています。それを挙げてみましょう。
対句一覧はこちら(タップで表示)
・かつ消え、かつ結びて
・棟を並べ、いらかを争へる
・高き、いやしき
・去年焼けて 今年作れり
・大家滅びて 小家となる
・あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて 小家となる
・明日に死に、夕べに生まるる
・生まれ死ぬる
・いづかたより来たりて、いづかたへか去る
・誰がためにか心を悩まし、似によりてか目を喜ばしむる
・知らずいづかたより〜去る。知らず誰がために〜喜ばしむる。
・露落ちて、花残れり
・露落ちて、花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。
・花しぼみて、露なほ消えず
・花しぼみて、露なほ消えず。消えずといへども、夕べを待つことなし。
・あるいは露落ちて〜枯れぬ。あるいは花しぼみて〜待つことなし。
実際の文章で確認してみましょう。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、またかくのごとし。
たましきの都のうちに棟を並べ、甍を争へる、高きいやしき人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家ほろびて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人がうちに、わづかに一人二人なり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづ方より来りて、いづ方へか去る。また知らず、仮の宿り、誰がためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その主と栖と無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。(『方丈記』より)
非常にたくさんありますが、それらをうまく組み合わせて、読みやすい文章になっていることに、感動しませんか。非常に美しい文章になっています。対句によって並べられている2つのものをそれぞれ理解していくことで、文章の内容はおおかた理解できるようになります。
理解しにくい箇所の解説
今回は、2箇所だけです。順番に本文を見ていきましょう。
今回のまとめ
今回は、対句の確認と以下の2箇所について詳しく説明しました。
- たましきの都
- 朝顔の露に異ならず
これらを理解して、最後にもう一度本文を読んでみましょう。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、またかくのごとし。
たましきの都のうちに棟を並べ、甍を争へる、高きいやしき人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家ほろびて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人がうちに、わづかに一人二人なり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづ方より来りて、いづ方へか去る。また知らず、仮の宿り、誰がためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その主と栖と無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。
- ゆく川の流れは絶えることなくしかもその水はもとの水ではない
- よどみに浮かんでいる泡は一方では消え続け一方では生まれ続ける
- 世の中にある人間や住居も「川の流れ」と同じ
- 人間は都の中で建てる家の大きさを競い合う
- 一方で時間が経つとそれらの家はなくなっている
- 人間も同じで、時間が経つとその場所にはいなくなる
- 人間も建物も無常であるが、それは朝顔の露と同じだ
おわりに(テスト対策へ)
今回は、『方丈記』の「ゆく河の流れ」についてお話しました。和漢混淆文の非常に美しい文章なので、一つ一つの訳よりも、文章の形や表現を味わってもらえたらなと思います。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。
読んでいただきありがとうございます!
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