はじめに
今回は『枕草子』の「すさまじきもの」と呼ばれる文章の品詞分解をおこないます。まずはじめに文章全体を見ておきましょう。声に出して読むと効果的ですよ!



すさまじきもの、昼ほゆる犬。春の網代(あじろ)。三(さん)、四(し)月(ぐわつ)の紅梅(こうばい)の衣(きぬ)。牛死にたる牛飼(うしか)ひ。乳児(ちご)亡(な)くなりたる産屋(うぶや)。火おこさぬ炭櫃(すびつ)、地火炉(ぢくわろ)。博士(はかせ)のうち続き女児(をんなご)生ませたる。方違(かたたが)へに行きたるに、あるじせぬ所。まいて節分(せちぶん)などは、いとすさまじ。(中略)
除目(ぢもく)に司(つかさ)得(え)ぬ人の家。今年は必ずと聞きて、はやうありし者どもの、ほかほかなりつる、田舎(ゐなか)だちたる所に住む者どもなど、みな集まり来て、出(い)で入(い)る車の轅(ながえ)もひまなく見え、物詣(ものまう)でする供(とも)に、我も我もと参り仕(つか)うまつり、もの食ひ、酒飲み、ののしりあへるに、果(は)つる暁(あかつき)まで門(かど)たたく音もせず。あやしうなど耳立てて聞けば、前駆(さき)追ふ声々などして、上達部(かんだちめ)などみな出(い)で給ひぬ。もの聞(ぎ)きに夜より寒がりわななきをりける下衆(げす)男(をとこ)、いともの憂(う)げに歩(あゆ)み来るを見る者どもは、え問ひだにも問はず。ほかより来(き)たる者などぞ、「殿は何にかならせ給(たま)ひたる。」など問(と)ふに、いらへには、「何の前司(ぜんじ)にこそは。」などぞ必ずいらふる。まことに頼(たの)みける者は、いと嘆(なげ)かしと思へり。つとめてになりて、ひまなくをりつる者ども、一人二人すべり出(い)でて去(い)ぬ。古き者どものさもえ行き離(はな)るまじきは、来年の国々、手を折りてうち数へなどして、ゆるぎありきたるも、いとをかし。すさまじげなり。
(『枕草子』より)
現代語訳&品詞分解
すさまじきもの、昼ほゆる犬。
興ざめなもの、昼間に吠える犬。
| 単語 | 品詞 | 活用 | 基本形 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| すさまじき | 形 | シク活・連体 | すさまじ | 興ざめだ |
| もの | 名 | – | ||
| 昼 | 名 | – | ||
| ほゆる | 動 | ヤ下二・連体 | ほゆ | 吠える |
| 犬 | 名 | – |
春の網代。
春の網代。
| 単語 | 品詞 | 活用 | 基本形 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 春 | 名 | – | ||
| の | 格助 | – | 連体修飾 | |
| 網代 | 名 | – | 魚を捕る仕掛け |
おわりに
以上で、「すさまじきもの」の品詞分解を終わります。この文章を解説したページもありますので、ぜひそちらもご覧ください。
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