「忠度の都落ち」『平家物語』テスト対策《完全版》

「テスト対策」では文章全体の細かい現代語訳などは載せていません。現代語訳や丁寧な文章の解説などは、以下の「読解のコツ」をタップしてご覧ください。
また、出題ポイントがまとまっている板書パネルは「読解のコツ」にありますので、興味がある人はそちらもご覧ください。

目次

「忠度の都落ち」テスト対策〈第1回〉

「忠度の都落ち」の前半部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。

STEP
本文を確認する

テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。

STEP
読みで問われやすい語を確認する

古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。

STEP
あらすじを確認する

「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。

STEP
出題ポイントを確認する

ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。

STEP
出典について確認する

いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。

STEP
問題演習をする

本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。このサイトは文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。

本文の確認

テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。

 薩摩守忠度は、いづくよりや帰られたりけん、侍五騎、童一人、わが身ともに七騎取つて返し、五条の三位俊成卿の宿所におはして見給へば、門戸を閉ぢて開かず。「忠度。」と名のり給へば、「落人帰り来たり。」とて、その内騒ぎ合へり。薩摩守、馬より下り、自ら高らかにのたまひけるは、「別の子細候はず。三位殿に申すべきことあつて、忠度が帰り参つて候ふ。門を開かれずとも、この際まで立ち寄らせ給へ。」とのたまへば、俊成卿、「さることあるらん。その人ならば苦しかるまじ。入れ申せ。」とて、門を開けて対面あり。ことの体、何となうあはれなり。
薩摩守のたまひけるは、「年ごろ申し承つてのち、おろかならぬ御ことに思ひ参らせ候へども、この二、三年は、京都の騒ぎ、国々の乱れ、しかしながら当家の身の上のことに候ふ間、疎略を存ぜずといへども、常に参り寄ることも候はず。君すでに都を出でさせ給ひぬ。一門の運命はや尽き候ひぬ。撰集のあるべき由承り候ひしかば、生涯の面目に、一首なりとも御恩をかうぶらうど存じて候ひしに、やがて世の乱れ出で来て、その沙汰なく候ふ条、ただ一身の嘆きと存ずる候ふ。世静まり候ひなば、勅撰の御沙汰候はんずらん。これに候ふ巻物のうちにさりぬべきもの候はば、一首なりとも御恩をかうぶつて、草の陰にてもうれしと存じ候はば、遠き御守りでこそ候はんずれ。」とて、日ごろ詠み置かれたる歌どもの中に、秀歌とおぼしきを百余首書き集められたる巻物を、今はとてうつ立たれけるとき、これを取つて持たれたりしが、鎧の引き合はせより取り出でて、俊成卿に奉る。

(『平家物語』より)

読みで問われやすい語

青線部の読みができるようになっておきましょう。

  • 薩摩守 忠度は、いづくよりや(かへ)られたりけん、
  • (さぶらひ)(ご)(き)(わらは)(いち)(にん)、わが(み)ともに(なな)(き)(と)つて(かへ)し、
  • (ご)(でう)(さん)(み)(しゆん)(ぜいの)(きやう)宿(しゆく)(しよ)におはして(み)(たま)へば、
  • 落人(おちうと)(かへ)(き)たり。」とて、その(うち)(さわ)(あ)へり。
  • (べち)子細 (さい)候はず。
  • ことの、何となうあはれなり。
  • (せん)(じふ)のあるべき (うけたまは)(さうら)ひしかば、
  • その(さ)(た)なく(さうら)(でう)、ただ(いつ)(しん)(なげ)きと(ぞん)ずる(ざうら)ふ。
解答はこちら(タップで表示)

「薩摩守」は「さつまのかみ」、「忠度」は「ただのり」、「童」は「わらわ」、「三位」は「さんみ」、「落人」は「おちうど」、「別」は「べち」、「子細」は「しさい」、「候(は)」は「そうろ(は)」、「体」は「てい」、「由」は「よし」、「承(り)」は「うけたまわ(り)」、「沙汰」は「さた」、「条」は「じょう」です。すべて現代仮名遣いで示しています。「別」「候ふ」「条」など、軍記物語で出やすい表現は特に気をつけましょう。

あらすじの確認

  • 忠度が都落ちの途中に七騎で都に引き返す
  • 忠度は俊成の家に行き、名乗りを上げる
  • 家のものは慌てるが、俊成は落ち着いて迎え入れる
  • 忠度は俊成から和歌の指導を受けていたが、平家一門の情勢の悪化により通えずにいた
  • 現状は、帝も都を出ているので平家一門の命運はすでに尽きている
  • 俊成が行う勅撰和歌集の編集に際し、忠度が自分の和歌を入れてほしいと願う
  • 忠度は都落ちの際、秀歌を集めた巻物を持っていったが、それを俊成に託す

出題ポイント

以下の6項目が何も見ずに訳すことができるか。確認してください。

  1. 「落人帰り来たり」とて、その内騒ぎ合へり。
  2. さることあるらん。その人ならば苦しかるまじ。入れ申せ。
  3. 年頃申し承つて後、おろかならぬ御事に思ひ参らせ候へども
  4. その沙汰なく候ふ条
  5. これに候ふ巻物のうちにさりぬべきもの候はば
  6. 今はとてうつ立たれける時

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練習問題(一問一答&文法問題)〈第1回〉

では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。

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「忠度の都落ち」テスト対策〈第2回〉

『忠度の都落ち』の後半部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。

STEP
本文を確認する

テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。

STEP
読みで問われやすい語を確認する

古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。

STEP
あらすじを確認する

「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。

STEP
出題ポイントを確認する

ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。

STEP
出典について確認する

いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。

STEP
古典文法で狙われそうな箇所を復習する

古典文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。このサイトは文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。

本文の確認

テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。

三位、これを開けて見て、「かかる忘れ形見を賜り置き候ひぬるうへは、ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。御疑ひあるべからず。さてもただ今の御渡りこそ、情けもすぐれて深う、あはれもことに思ひ知られて、感涙おさへがたう候へ。」とのたまへば、薩摩守喜んで、「今は西海の波の底に沈まば沈め、山野にかばねをさらさばさらせ。浮き世に思ひ置くこと候はず。さらばいとま申して。」とて、馬にうち乗り、甲の緒を締め、西をさいてぞ歩ませ給ふ。三位、後ろをはるかに見送つて立たれたれば、忠度の声とおぼしくて、「前途程遠し、思ひを雁山の夕べの雲に馳す。」と高らかに口ずさみ給へば、俊成卿、いとど名残惜しうおぼえて、涙をおさへてぞ入り給ふ。
そののち、世静まつて、『千載集』を撰ぜられけるに、忠度のありしありさま、言ひ置きし言の葉、今さら思ひ出でてあはれなりければ、かの巻物のうちに、さりぬべき歌いくらもありけれども、勅勘の人なれば、名字をばあらはされず、「故郷の花」といふ題にて詠まれたりける歌一首ぞ、「詠み人知らず」と入れられける。
さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな
その身、朝敵となりにしうへは、子細に及ばずといひながら、うらめしかりしことどもなり。

(『平家物語』より)

読みで問われやすい語

青線部の読みができるようになっておきましょう。

  • (さん)(み)、これを(あ)けて(み)て、
  • かかる(わす)(がた)(み)(たまは)(お)(さうら)ひぬるうへは、
  • (さつ)(まの)(かみ)(よろこ)んで、
  • (かぶと)(を)(し)め、西(にし)をさいてぞ(あゆ)ませ(たま)ふ。
  • (おも)ひを(がん)(さん)(ゆふ)べの(くも)(は)す。
  • いとど名残(なごり)(を)しうおぼえて、
  • (せん)(ざい)(しふ)』を(せん)ぜられけるに、
  • (し)(さい)(およ)ばずといひながら、
解答はこちら(タップで表示)

「三位」は「さんみ」、「賜(り)」は「たまわ(り)」、「薩摩守」は「さつまのかみ」、「甲」は「かぶと」、「馳(す)」は「は(す)」、「名残」は「なごり」、「千載集」は「せんざいしゅう」、「子細」は「しさい」です。すべて現代語訳で示しています。

あらすじの確認

  • 俊成は忠度から受け取った巻物を開いて見る
  • 忠度の思いをいい加減に扱うことはしないと約束する
  • 忠度はもう思い残すことはないと俊成に別れを告げる
  • 忠度は馬に乗って、西に向かって進む
  • その時に、漢詩文を口ずさむ
  • 世が静まった後、俊成は二人のやりとりを思い出す
  • 巻物の中の和歌を一首千載集に入れるが、「読み人知らず」とする

出題ポイント

以下の3項目が何も見ずに訳すことができるか。確認してください。

  1. ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。
  2. 俊成卿いとど名残惜しうおぼえて、涙をおさへてぞ入り給ふ。
  3. さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな

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練習問題(一問一答&文法問題)〈第2回〉

では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。

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おわりに

今回は「忠度の都落ち」のうち、忠度が歌の師である俊成と対面する場面を読んでいきました。『平家物語』は「無常観」をベースにして文章が描かれているので、登場人物の最期も生き生きと描かれます。テンポがよいので、非常に読んでいて心地の良い文章でもあります。ぜひ授業で読んだものだけでなく、その他の文章にも触れてもらいたいと思っています。

また、『平家物語』は他にも面白い文章がたくさん出てきます。特に読みやすい文章なので、ぜひ多くの文章に触れてみてほしいと思います。

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この記事を書いた人

古文指導歴25年。「受けるだけで15点上がる」古文の先生。難しい文法用語をかみくだいて、テストに直結する形で教えるのが得意です。無料サイト「スマホで学ぶ古文」でも150記事以上を公開中。

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