はじめに

『土佐日記』って作者は男の人ですよね。どうして「女もする」って書いてあるんですか?



これは、作者が女性になりたかったというわけではなく、仮名文字というものの特性なんだよ。今回は、なぜ作者が女性のふりをしてこの文章を書いたのか、その謎に迫っていこう!
『土佐日記』について
今回は『土佐日記』の冒頭です。教科書には「門出」と書かれているものも多いでしょうか。非常に有名な冒頭文ですので、見たことがある人もいるかもしれません。まずは文章の前に、『土佐日記』についてまとめておきます。下の板書を見てください。


『土佐日記』は平安日記文学の先駆けです。この後女流仮名日記がいくつも出てきます。今回はそこには触れず、『土佐日記』の特徴に注目してください。『土佐日記』は紀貫之という、古今和歌集の撰者の一人が書いた、土佐国(高知県)での国司の任期を終え、都に戻るまでの旅日記です。当時、文字については、仮名は女性が使うものとされ、男性は「真名」つまり漢字を使うとされていたそうです。ですが、様々な気持ちを詳細に書くには漢字よりも仮名の方が都合が良かったので、わざわざ女性のふりをして日記を書きました。というわけで、作者は仮名を用いて日記を書くために、あえて女性のふりをするわけです。土佐日記の冒頭を読むときには、以上の背景知識がどうしても必要になります。
「男もすなる日記」(門出)要点・あらすじ・現代語訳〈第1回〉
古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。


本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。


step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。


男もすなる日記(にき)といふものを、女もしてみむとてするなり。
それの年の十二月(しはす)の二十日(はつか)あまり一日(ひとひ)の日(ひ)の戌(いぬ)の時に、門出(かどで)す。そのよし、いささかに物に書きつく。
ある人、県(あがた)の四年(よとせ)五年(いつとせ)はてて、例(れい)の事どもみなし終へて、解由(げゆ)など取りて、住む館(たち)より出でて、船に乗るべき所へ渡(わた)る。かれこれ、知る知らぬ、送りす。年(とし)ごろよくくらべつる人々なむ、別(わか)れ難(がた)く思ひて、日(ひ)しきりにとかくしつつののしるうちに、夜(よ)更(ふ)けぬ。
(『土佐日記』より)
文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。
登場人物の確認
日記は、当然自分のことを書いているわけですから、「作者(自分)」が出てくることが大半です。「作者(自分)」を中心にどのような人が関わってくるか、「作者(自分)」がどのような経験をしたかを読み取っていきます。
- 作者(自分)(=ある人)
- かれこれ、知る知らぬ
- 藤原のときざね
「日記を書いている人」は「女」として書かれます。ですので、本当の作者(紀貫之)は「ある人(が)」といかにも自分ではないという書き方になっています。その「作者(紀貫之)」が土佐国を出るときに、多くの人が挨拶や見送りをしに来てくれます。「作者」の他はそのような人たちです。
お話を簡単に理解(あらすじ)
- 男が書く日記を女の私も書いてみよう
- 12月21日、午後8時ころ出発 そのことを日記に書く
- ある人(=作者)が国司の任期を終えて土佐国を出ようとする。多くの人が見送りをしてくれる
ここは事実の表記にとどめますが、そこでどのようなことがあったのかがこの文章を読み解くポイントになります。それは、次の項目で丁寧にやっていきましょう。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり
- それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す
- 日しきりにとかくののしるうちに、夜更けぬ
「男もすなる日記」(門出)読解のコツ 第2回
では、続きを読んでいきましょう。古文を読解する5つのコツをお話します。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。
何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。


本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。
簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。
古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。


step3とstep4は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。
本文を読む
前回の範囲の内容をしっかり思い出しながら、本文をじっくり読んでみましょう。




二十二日(はつかあまりふつか)に、和泉(いづみ)の国(くに)までと、平(たひ)らかに願(ぐわん)立つ。藤原(ふぢはら)のときざね、船路(ふなぢ)なれど、馬(うま)のはなむけす。上中下(かみなかしも)、酔(ゑ)ひ飽(あ)きて、いとあやしく、塩海(しほうみ)のほとりにてあざれあへり。
二十三日(はつかあまりみつか)。八木(やぎ)のやすのりといふ人あり。この人、国に必ずしも言ひ使ふ者にもあらざなり。これぞ、たたはしきやうにて、むまのはなむけしたる。守柄(かみがら)にやあらむ、国人(くにびと)の心の常として、今は、とて見えざなるを、心ある者は、恥(は)ぢずになむ来ける。これは、ものによりてほむるにしもあらず。
二十四日(はつかあまりよつか)。講師(かうじ)、むまのはなむけしに出(い)でませり。ありとある上(かみ)・下(しも)、童(わらは)まで酔(ゑ)ひしれて、一文字(いちもんじ)をだに知らぬ者、しが足は十文字(じふうもんじ)に踏みてぞ遊ぶ。
(『土佐日記』より)
登場人物の確認
日記は、当然自分のことを書いているわけですから、「作者(自分)」が出てくることが大半です。「作者(自分)」を中心にどのような人が関わってくるか、「作者(自分)」がどのような経験をしたかを読み取っていきます。
- 作者(自分)(=ある人)
- かれこれ、知る知らぬ
- 藤原のときざね
- 八木のやすのり
- 講師
「作者」は「女」として書かれます。ですので、「ある人(が)」といかにも自分ではないという書き方になっています。その「作者」が土佐国を出るときに、多くの人が挨拶や見送りをしに来てくれます。「作者」の他はそのような人たちです。
お話を簡単に理解(あらすじ)
- 男が書く日記を女の私も書いてみよう
- 12月21日、午後8時ころ出発 そのことを日記に書く
- ある人(=作者)が国司の任期を終えて土佐国を出ようとする。多くの人が見送りをしてくれる
- ーーー(ここから第二回)ーーー
- 22日、和泉国までの船旅の安全祈願をする 藤原のときざねが餞別を贈る
- 23日、八木のやすのりが餞別を贈る
- 24日、講師(=国分寺の僧)が餞別を贈る
今回は22日〜24日の内容把握です。それぞれ「だれかが餞別を贈る」とだけ書いてありますが、その時にどのようなことがあったか、作者はどのようなことを感じたか、それらを理解するのが読解のポイントになっています。
理解しにくい箇所の解説を見る
本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。
- ④船路なれど、馬のはなむけす
- ⑤上中下、酔ひ飽きて
- ⑥潮海のほとりにてあざれあへり
- ⑦国に必ずしも言ひ使ふ者にもあらざなり
- ⑧今は、とて見えざなるを
- ⑨一文字をだに知らぬ者、しが足は十文字に踏みてぞ遊ぶ
おわりに(テスト対策へ)
今回は、『土佐日記』冒頭「門出」についてお話しました。一通り学習を終えたら、今度はテスト対策編もご覧ください。
次のお話(帰京)へ
今回は『土佐日記』「門出」をお話しました。古文の授業では「門出」を読んだ後に、「帰京」という題名で、作者が京都に戻ってくるときのお話を読むことが多いです。その話の内容は以下をタップしてご覧ください。
読んでいただきありがとうございます!
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