「ある人弓射ること習ふに」『徒然草』読解のコツ《完全版》

※この記事では、現代語訳を要点ごとに上げています。一文ごとの品詞分解と詳しい現代語訳は品詞分解と現代語訳のページでご確認ください。

目次

はじめに

先生、今回は『徒然草』の一つだと思うのですが、このお話はどのような内容ですか。

今回は初心者がどのようなことに気をつければよいかということが書かれている文章です。古典の学習に慣れてきた人たちも、ここで改めて初めて学習した頃の気持ちを思い出したいですね。

『徒然草』について

 今回は『徒然草』第九十二段(ある人、弓射ることを習ふに)で、初学者の極意を話した文章です。
『徒然草』ですが、これは古典三大随筆の一つで、兼好法師が独自の無常観に基づいて書いた、鎌倉時代末期随筆です。『徒然草』について詳しく解説したものは、以下をご覧ください。

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作者と成立時代、「無常観」というキーワードは覚えておきたいね!

「ある人、弓を射ることを習ふに」要点・あらすじ・現代語訳

それでは、古文を読解する5つのコツをお話しましょう。以下の順に確認していくと以前よりも飛躍的に古文が読めるようになるはずです。

STEP
本文を読む

何度も本文を読んでみて(できれば声に出して)、自分なりに文章の内容を想像してみます。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」「どのようなことを言っているか」「どのような行動をしているか」を考えていきます。

STEP
登場人物を確認する

本文にどのような人物が出てきているか、確認します。紙で文章を読むときは、鉛筆などで▢をつけるとよりよいでしょう。

STEP
内容を大まかに把握し、説明する

簡単でもよいので、誰かに「こんなお話」だと説明できる状態にします。ここでは、合っているかどうかは関係ありません。今の段階で、こんな話じゃないかなと考えられることが大切なのです。考えられたら、実際にこの項目をみてください。自分との違いを確認してみましょう。

STEP
理解しにくい箇所の解説を見る

古文を読んでいると、どうしても自力では分からない所がでてきます。ちなみに、教科書などでは注釈がありますが、注釈があるところは注釈で理解して構いません。それ以外のところで、多くの人が詰まるところがありますが、丁寧に解説しているので見てみてください。

STEP
改めて本文を解釈する

step4とstep5は並行して行います。きっと、随分と読めるようになっているはずです。

本文を読む

 何度も本文を読んでみて、自分なりに文章の内容を想像してみましょう。特に初めて読むときは、分からない言葉があっても意味調べなどせずに読みます。分からない言葉がある中でも文章の中に「誰がいるか」、「どのようなことを言っているか」、「どのような行動をしているか」を考えていきます。

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 ある人、弓射(い)ることを習ふに、諸矢(もろや)をたばさみて的(まと)に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。のちの矢を頼(たの)みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失(とくしつ)なく、この一矢(ひとや)に定(さだ)むべしと思へ。」と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。懈怠(けだい)の心、自(みづか)ら知らずといへども、師これを知る。この戒(いまし)め、万事(ばんじ)にわたるべし。
 道を学
(がく)する人、夕べには朝(あした)あらんことを思ひ、朝(あした)には夕べあらんことを思ひて、重ねてねんごろに修(しゆ)せんことを期(ご)す。いはんや、一刹那(いつせつな)のうちにおいて、懈怠(けだい)の心あることを知らんや。なんぞ、ただ今の一念(いちねん)において、ただちにすることのはなはだかたき。
(『徒然草』より)

 文章を読むことができたら、下の「登場人物の確認」「内容を簡単に理解」を読んで、自分の理解と合っていたかを確認します。

登場人物の確認

  • ある人 

「ある人」と「師」のやりとりを通して、「道を学する人(仏道修行をする人)」や、さらには一般的にも「すぐに実行することの難しさ」について説いています。

お話を簡単に理解(あらすじ)

  • ある人が弓を射ることを習うときに、二本の矢を持って的に向かう
  • 師は「初めの矢をおろそかにするので、二本の矢を持つな」という
  • 初学者が自分では分かっていなくても、師は怠け心が生まれることが分かっている
  • この戒めはあらゆることにわたる
  • 仏道を修行する人は、後になってもう一度ゆっくりと修行しようと考える
  • これが「怠け心」であるが、弓を射るような一瞬間にも「怠け心」があることを知らない
  • すぐに実行することが非常に難しい

今回はお話というよりも、意見文や評論などに近いですね。作者の主張をしっかりと理解していきましょう。「懈怠の心(怠け心)」がどういうものだと作者が言っているか、考えながら読んでいきます。

各文の品詞分解について

一文ごとの品詞分解と現代語訳は、別のページに掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。

理解しにくい箇所の解説

 本文を読んで自分で内容を考えていったときに、おそらく以下の箇所が理解しにくいと感じたでしょう。その部分を詳しく説明します。解説を読んで、理解ができたら改めて本文を解釈してみてください。

  • のちの矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。
  • 一つをおろかにせんと思はんや。
  • 重ねてねんごろに(しゆ)せんことを(ご)す。
  • いはんや、(いつ)(せつ)(な)のうちにおいて、懈怠の心あることを知らんや。
  • なんぞ、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだかたき。

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おわりに(テスト対策へ)

 以上で、「ある人、弓射ることを習ふに」の文章解説を終わります。次はテスト対策です。「テスト対策&練習問題」では、テスト前に「これだけは覚えておいてほしい」という項目をできるだけ絞って説明することで、読むだけでテスト対策が十分にできるものになっています。以下をタップして読んでみてください。

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この記事を書いた人

古文指導歴25年。「受けるだけで15点上がる」古文の先生。難しい文法用語をかみくだいて、テストに直結する形で教えるのが得意です。無料サイト「スマホで学ぶ古文」でも150記事以上を公開中。

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