はじめに
今回は『紫式部日記』の「水鳥の足」と呼ばれる文章の品詞分解をおこないます。まずはじめに文章全体を見ておきましょう。声に出して読むと効果的ですよ!


行幸(ぎやうがう)近くなりぬとて、殿(との)のうちをいよいよつくろひみがかせ給ふ。よにおもしろき菊の根をたづねつつ、掘りて参る。いろいろうつろひたるも、黄(き)なるが見どころあるも、さまざまに植(う)ゑたてたるも、朝霧(あさぎり)の絶え間に見わたしたるは、げに老いもしぞきぬべき心地するに、なぞや、まして、思ふことの少しもなのめなる身ならましかば、すきずきしくももてなし、若やぎて、つねなき世をも過ぐしてまし、めでたきこと、おもしろきことを見聞くにつけても、ただ思ひかけたりし心のひくかたのみ強くて、もの憂(う)く、思はずに、嘆かしきことのまさるぞ、いと苦しき。いかで、今はなほもの忘れしなむ、思ふかひもなし、罪も深かなりなど、明けたてばうちながめて、水鳥どもの思ふことなげに遊びあへるを見る。
水鳥を水の上とやよそに見む我もうきたる世を過ぐしつつ
かれも、さこそ心をやりて遊ぶと見ゆれど、身はいと苦しかんなりと、思ひよそへらる。
(『紫式部日記』より)
現代語訳&品詞分解
行幸近くなりぬとて、殿のうちをいよいよつくろひみがかせ給ふ。
(一条天皇の)行幸が近くなったということで、(道長様は)お屋敷の中をますます立派に飾り立てさせなさる。
| 単語 | 品詞 | 活用 | 基本形 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 行幸 | 名 | – | ||
| 近く | 形 | ク活・連用 | 近し | |
| なり | 動 | ラ四・連用 | なる | |
| ぬ | 助動 | ・終止 | ぬ | 完了 |
| と | 格助 | – | 引用 | |
| て | 接助 | – | 単純接続 | |
| 殿 | 名 | – | ||
| の | 格助 | – | 連体修飾 | |
| うち | 名 | – | ||
| を | 格助 | – | 対象 | |
| いよいよ | 副 | – | ますます | |
| つくろひみがか | 動 | カ四・未然 | つくろひみがく | 飾り立てる |
| せ | 助動 | ・連用 | す | 使役 |
| 給ふ | 動 | ハ四・終止 | 給ふ | 尊敬の補助動詞 |
よにおもしろき菊の根をたづねつつ、掘りて参る。
(人々は)実に美しい根株のある菊の花を探し出しては、掘って献上する。
| 単語 | 品詞 | 活用 | 基本形 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| よに | 副 | – | 実に | |
| おもしろき | 形 | シク活・連体 | おもしろし | 美しい |
| 菊 | 名 | – | ||
| の | 格助 | – | 連体修飾 | |
| 根 | 名 | – | 根株 | |
| を | 格助 | – | 対象 | |
| たづね | 動 | ナ下二・連用 | たづぬ | 探し出す |
| つつ | 接助 | – | 反復 | |
| 掘り | 動 | ラ四・連用 | 掘る | |
| て | 接助 | – | 単純接続 | |
| 参る | 動 | ラ四・終止 | 参る | 謙譲語・献上する |
おわりに
以上で、「水鳥の足」の品詞分解を終わります。この文章を解説したページもありますので、ぜひそちらもご覧ください。
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