- 助動詞「らむ」「けむ」と助動詞「む」の違いが分かる!
- 助動詞「らむ」の接続と活用の仕方が分かる!
- 助動詞「らむ」の文法的意味が分かる!
- 助動詞「けむ」の接続と活用の仕方が分かる!
- 助動詞「けむ」の文法的意味が分かる!
- 助動詞「らむ」「けむ」に関する基本的な問題が解けるようになる!
はじめに

助動詞「む」ってこれから先のことを推測する助動詞でしたよね?じゃあ、今や過去のことを推測する助動詞ってないんですか?



いいところに気がついたね。今回は「まさに今」を推測したり、「過去のある状況」を推測したりする助動詞について、学んでいくことにするよ。
助動詞「らむ」「けむ」の学習ポイント|接続・活用・意味
今回学習することの要点を示します。
【助動詞「らむ」】


【助動詞「けむ」】


推量の助動詞「らむ」「けむ」について
今回は助動詞「らむ」「けむ」について学んでいきましょう。「らむ」「けむ」を知るには、まず助動詞「む」について知っておくことが前提になります。「む」について理解した後で、こちらを読み進めてください。
「らむ」「けむ」の基本的な考え方について
一言でいうと、助動詞「らむ」は「現在を推量するもの」、「けむ」は「過去を推量するもの」です。助動詞「む」が、「これから先に起こること」を推測するものだったのに対し、時間の感覚が「現在」や「未来」に変わっているということをまず知っておくとよいでしょう。「現在の推量」は、通常今、目に見えていないことに対して使われます。「過去の推量」は、自分が体験しなかったこと、以前は思いもつかなかったことに対して思いを馳せるときなどに使われます。今回は、助動詞「らむ」・「けむ」それぞれ別項目として説明をしていきます。



「らむ」は「現在の推量」、「けむ」は「過去の推量」なんだね。
「らむ」の接続、活用表、意味
まず、例文を使って「らむ」という助動詞を理解していきます。
(例文)
憶良らは今はまからむ、子泣くらむ
例文前半の「まからむ」の「む」は、主語が「(私)憶良めは」となっていますので、「退出しましょう(帰りましょう)」と意志を表しています。現在まだ、憶良は立ち去っていないので、この先のこと(未来)の出来事の説明として助動詞「む」を用いています。一方、後半の「子泣くらむ」は、自分がいないところで、現在子どもが泣いているだろうと推測していることを表現しています。つまり、助動詞「らむ」は現在を推量する助動詞であることがわかります。



「子」は今自分の目の前にいないってところがポイント!
「子泣くらむ」についてもう少し分析していきます。助動詞「らむ」には「泣く」が接続しています。これはカ行四段活用の動詞ですが、終止形か連体形かは分かりません。そこで、練習問題の問三(1)の文
龍田山夜半にや君がひとり越ゆらむ
を見てみましょう。「越ゆらむ」の「越ゆ」はヤ行下二段活用の終止形なので、接続は終止形だとわかります。ただし、終止形接続の助動詞は、ラ行変格活用動詞、またはそれと同じ活用をする助動詞(これを「ラ変型」といいます)が接続するときは連体形になりますので、注意してください。
次に活用です。活用は「む」と同じ四段型です。助動詞「む」が「ん」となるのと同じように「らん」となることがあります。
「らむ」の接続
=終止形(ラ変型は連体形)
「らむ」の活用=四段型
※ただし、音便(「ん」)に注意


「らむ」は現在起こっている状況を推測する助動詞(現在推量の助動詞)ですが、それは、原則として目に見えていないことに対して行います。(例文)でも、いまその場にいない子が、(自宅で)泣いていることを推測しているわけです。
一方で目の前で起こっていることを推測することもあります。その時は、その現象が起こっている原因や理由を推測することが多いです。そのような原因・理由を推測することを「原因推量」といいます。例えば、「子泣くらむ」とあっても、目の前で子どもが泣いていると、「なぜこの子は泣いているのだろう」や「転んだから泣いているのだろう」と泣いている原因や理由を推量することになります。
また、助動詞「む」と同じように文中に「らむ」がある場合は「(現在の)婉曲」になる場合が多いです。「〜ているような」と訳すとよいでしょう。また、婉曲の派生で「〜とかいっている」「〜と聞く」という「伝聞」になることもあります。
「らむ」の文法的意味
1現在推量
(今ごろーーているだろう)
2(現在の)原因推量
(どうしてーーているのだろう)
(ーーので……ているのだろう)
3(現在の)婉曲、伝聞
(ーーているような)
(ーーとか言っている)


「けむ」の接続、活用表、意味
助動詞「けむ」も例文から理解していきます。
(例文)あれはただ人にこそありけめ
「けむ」は過去にあった出来事等を推測する助動詞ですから、「(今は異なるが以前は)普通の(身分の)人であったのだろう」と解釈すればよいのでしょう。「けむ」は「過去推量」の助動詞です。
例文では、「こそありけめ」となっています。助動詞「けむ」の接続は「あり」なので、連用形か終止形か分かりません。そこで、練習問題の問三(3)の文を見ると「いかがしけむ」となっています。「し」はサ行変格活用の連用形ですから、「けむ」の接続は連用形となります。改めて整理すると、過去・完了を表す助動詞は原則(「り」を除いて)連用形接続になっていることに気がつきますね。
次に活用です。例文では係り結びの法則によって已然形「らめ」になっています。活用は「む」と同じ四段型です。助動詞「む」「らむ」が「ん」「らん」となるのと同じように「けん」となることがあります。


「けむ」の接続=連用形
「けむ」の活用=四段型
※ただし、音便(「ん」)に注意
「けむ」は過去に起こってた状況を推測する助動詞(過去推量の助動詞)です。また、当時その現象が起こった原因や理由を推測することがもあります。そのようなものを「原因推量」といいましたが、「らむ」よりは用例が少ないです。
また、助動詞「む」と同じように文中に「けむ」がある場合は「(過去の)婉曲」になる場合が多いです。「〜たような」と訳すとよいでしょう。また、婉曲の派生で「〜たとかいう」「〜たと聞く」という「伝聞」になることもあります。


「けむ」の文法的意味
1過去推量(ーーただろう)
2(過去の)原因推量
(どうしてーーたのだろう)
(ーーので……たのだろう)
3(現在の)婉曲、伝聞
(ーーたような)
(ーーたとか言っている)
以上が「らむ」「けむ」の説明になります。大きく捉えると、「む」が未来を、「らむ」が現在を、「けむ」が過去を推量していると考えれば、分かりやすいと思います。では、実際に問題を解いて、助動詞「らむ」「けむ」の理解を深めていきましょう。



「未来の推量」が「む」で未然形接続、「現在の推量」が「らむ」で終止形接続、「過去の推量」が「けむ」で連用形接続と覚えておけば、大きく間違えないでしょう。
テスト対策(練習問題)
助動詞「らむ」「けむ」について理解ができたか、実際の問題を通して確認していきましょう。
一問一答3選(超基礎編)
1. 「らむ」の文法的意味は?
2. 「けむ」の文法的意味は?
3. 「あれは、ただ人にこそありけめ」の「けめ」の文法的意味は?
解答(タップで表示)
1.現在推量(原因推量・伝聞・婉曲) 2.過去推量(原因推量・伝聞・婉曲) 3.過去推量
接続の問題
おわりに
今回は助動詞「らむ」「けむ」でした。文法的意味が四字になった(「現在推量」「過去推量」)ので、面食らった人もいたのではないでしょうか。本文によく出てくる助動詞は二字のものが多いですが(例 過去)、学習が進んでくると、四文字以上の文法的意味を持つものが出てきます。といっても、今回は助動詞「む」の親戚みたいなものだったので、比較的分かりやすかったのではないでしょうか。
次回は助動詞「べし」です。助動詞の中で最も文法的意味の数が多い助動詞ですが(昔は16個も覚えさせられたらしいです・・・)、「む」と同じでもとは1つで、それが様々な意味に派生していくわけです。次回も大きく1つの意味から様々な意味に広げていく学習をしていきたいと思います。
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