- 「地の文」がなにか分かる!
- 「尊敬語」が「誰が」「誰に」敬意を払うのか分かる!
- 「謙譲語」が「誰が」「誰に」敬意を払うのか分かる!
- 「丁寧語」が「誰が」「誰に」敬意を払うのか分かる!
- 「誰が」「誰に」敬意を払うかを問う問題が解ける!
はじめに

古文の問題を解いていると、問題で「誰から誰への敬意か」って出てくるんですけど、全然わからなくて・・・。どうしたらいいですか?



敬語の問題で一番問われるところだね。今回は敬意の方向について学んでいこう!
「敬意の方向」の学習ポイント
今回学習することの要点を示します。
【地の文】


【会話文】


敬意の方向
今回は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のそれぞれが「誰が」「誰に」敬意を払っているのかを確認していきます。実は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の定義を話したときに、このことは別のページですでに伝えています。それを今回は図にして、より分かるように説明していきます。「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」それぞれがどのようなものかは改めて下から確認してみてください。
イメージを知る
尊敬語・謙譲語・丁寧語の定義を改めて示します。
尊敬語
話し手(書き手)が話題の中の動作をする人に敬意を表す。
謙譲語
話し手(書き手)が話題の中の動作を受ける人(動作をされる人)に敬意を表す。
丁寧語
話し手が聞き手に敬意を表す。
(書き手が読み手に敬意を表す)
これをまず思い出した上で、次の項目に進んでください。
地の文
まず、「地の文」からです。「地の文」とは「会話文(心中文)でない文」、通常の文章に使われている文のことです。私達は古文を読んでいくわけですから、ほとんどが地の文ということになります。地の文では、敬意を払おうと考えている人が「書き手」つまり、文章の「作者」ということになります。それでは、下の図を見てください。


この図は、「書き手」が何かお話を書いている場面です。そのお話は、「『ある人』(A)が『別のある人』(B)に手紙を送った」という内容です。このときの『ある人』(A)が手紙を送る人、つまり「動作をする人」、『別のある人』(B)が手紙をもらう人、つまり「動作を受ける人(される人)」になります。
次に、「誰が」敬意を払っているかを考えます。先程も述べた通り、敬意を払おうとする人は「書き手」つまり、文章の「作者」です。つまり、敬意の方向は「書き手」(作者)から出発すると考えればよいわけです。「誰が(誰から)」は「作者」、これをまず覚えてください。
誰が(誰から)は「作者」
いよいよ、「誰に対する」敬意かを考えましょう。「敬意の方向」は「誰から誰への敬意」を考えるものですが、誰からはすべて「作者」だということは分かりました。そこで、改めて尊敬語・謙譲語・丁寧語がどういうものか見てみます。
尊敬語
話し手(書き手)が話題の中の動作をする人に敬意を表す。
謙譲語
話し手(書き手)が話題の中の動作を受ける人(動作をされる人)に敬意を表す。
丁寧語
話し手が聞き手に敬意を表す。
(書き手が読み手に敬意を表す)
尊敬語は「話題の中の動作をする人」への敬意です。ということは、下の図で言えば「↑」に向かいます。謙譲語は「話題の中の動作を受ける人」への敬意です。ということは、下の図で言えば「↗」に向かいます。また、丁寧語は、地の文では「読み手」への敬意です。ということは、下の図で言えば「→」に向かうことになります。この図をイメージできると、「敬意の方向」は非常に簡単になります。


では、実際に(例文)を使って練習してみましょう。太字の敬語動詞は誰から誰に対する敬意を表しているでしょうか。
(例文1)男が、女にのたまふ。
(例文2)児が、翁に申す。
どちらも地の文です。(例文1)の「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語です。尊敬語は「作者から動作をする人への敬意」でした。男が「動作をする人」、女が「動作を受ける人」なので、上の図に合わせて考えてみると、「作者から男への敬意」ということが分かります。
次に(例文2)です。「申す」は「言ふ」の謙譲語です。謙譲語は「作者から動作を受ける人への敬意」でした。児が「動作をする人」、翁が「動作を受ける人」なので、上の図に合わせて考えてみると、「作者から翁への敬意」ということが分かります。
尊敬語:「作者」から「動作をする人」への敬意
謙譲語:「作者」から「動作を受ける人」への敬意
丁寧語:「作者」から「読者」への敬意
会話文
次に、会話文です。「誰が敬意を払っているか」、つまり「誰の(誰から)」が地の文と異なるところです。地の文では、「作者」でしたが、「会話文(心中文)」では「話し手」となります。ただし、「話し手」は具体的に誰なのかを明らかにする必要があります。本文をしっかり読んで、「誰が話をしているのか」をつかむようにしてください。そのため、敬意の方向の問題は、会話文の方が、難易度が上がるのです。
誰が(誰から)は「話し手」
※「話し手」は誰かを明らかにする必要あり
「誰に対する」敬意かは、基本的に地の文と同じです。ただし、丁寧語は「聞き手」への敬意となります。下の図を見て確認してみてください。


では、実際に(例文)を使って練習してみましょう。太字の敬語動詞は誰から誰に対する敬意を表しているでしょうか。
(例文3)
(嫗)「男が、女のもとへおはす。」
(例文4)
(侍)「児が、翁のもとへまゐる。」
(例文5)
太郎が次郎に「女房が侍り」と言ふ。
筆者が作った例文ですが、いずれも会話文です。(例文3)の話し手は「嫗」、(例文4)の話し手は「侍」、(例文5)の話し手は「太郎」です。
(例文3)(嫗)「男が、女のもとへおはす。」
この「おはす」は「行く・来」の尊敬語でしたね。尊敬語は「作者から動作をする人への敬意」でした。男が「動作をする人」、女が「動作を受ける人」なので、上の図に合わせて考えてみると、「嫗から男への敬意」ということが分かります。
(例文4)(侍)「児が、翁のもとへまゐる。」
この「申す」は「言ふ」の謙譲語でしたね。謙譲語は「作者から動作を受ける人への敬意」でした。児が「動作をする人」、翁が「動作を受ける人」なので、上の図に合わせて考えてみると、「作者から翁への敬意」ということが分かります。
(例文5)太郎が次郎に「女房が侍り」と言ふ。
この「侍り」は「あり」の丁寧語です。会話文の丁寧語は「話し手から聞き手への敬意」です。「話し手」は「太郎」、「聞き手」は「次郎」です。よって、「太郎から次郎への敬意」になります。
尊敬語:「話し手」から「動作をする人」への敬意
謙譲語:「話し手」から「動作を受ける人」への敬意
丁寧語:「話し手」から「聞き手」への敬意
※「話し手」「聞き手」は誰かを明らかにする必要あり
敬意の方向 一覧表
これまでの、「イメージ」のところで、敬意の方向の考え方は分かりました。これを実際に一覧表にしてみます。
地の文
一覧表にすると、以下の通りになります。


「動作をする人」「動作を受ける人」というのがもう一つわからないという人もいると思います。実際のところ、「動作をする人」というのは、その動詞(補助動詞)における主語、つまり「〜は」「〜が」にあたる人物です。例えば、先程の「(例文1)男が、女にのたまふ。」であれば、「のたまふ」の主語に注目して「男」への敬意と言えたら良いわけです。
一方、「動作を受ける人」というのは、その動詞(補助動詞)の対象語(目的語)、つまり「〜に」「〜を」にあたる人物です。「(例文2)児が、翁に申す。」であれば、「申す」の対象語(〜に)に注目して、「翁」への敬意と言えたら良いわけです。
以上をまとめると、以下のように書くこともできます。


会話文
一覧表にすると、以下の通りになります。


これも「動作をする人」というのは、その動詞(補助動詞)における主語、つまり「〜は」「〜が」にあたる人物で、「動作を受ける人」というのは、その動詞(補助動詞)の対象語(目的語)、つまり「〜に」「〜を」にあたる人物であるといえます。
ということは、以下のように書くこともできます。


(例文3)
(嫗)「男が、女のもとへおはす。」
この「おはす」の主語(〜が)に注目すると、「男」への敬意だといえます。
(例文4)
(侍)「児が、翁のもとへまゐる。」
この、「まゐる」の対象語(〜に、を)に注目すると、「翁」への敬意だといえます。例文では「翁のもとへ」となっていますが「翁(のもと)に」と言い換えることもできることから、このように考えられるわけです。
以上で、敬意の方向の説明を終わります。敬意の方向は、実際に何度も練習しないとマスターできませんので、多くの文章に触れて、敬語が出てくるたびに「誰から誰への敬意か」を考えていきましょう。最初は時間がかかりますが、徐々にすぐ答えられるようになりますよ。頑張りましょう!
テスト対策(練習問題)
敬意の方向を実際の問題を解いて、確認していきましょう。
おわりに
以上で、敬意の方向の説明を終わります。次回は「二方面敬語」や「最高敬語」について解説します。古文では、一つの言葉に敬語が重なって出てくることが多々あります。それらを学習して、敬語の学習の基本は終わりにしたいと思います。では、またお会いしましょう!
読んでいただきありがとうございます!
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